質問主意書

第80回国会(常会)

答弁書


答弁書第五〇号

内閣参質八〇第五〇号

  昭和五十二年六月二十一日

内閣総理大臣 福田 赳夫   


       参議院議長 河野 謙三 殿

参議院議員沓脱タケ子君提出公害健康被害補償法の認定制度改善に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員沓脱タケ子君提出公害健康被害補償法の認定制度改善に関する質問に対する答弁書

一について

(一)(1) 公害健康被害補償制度における第一種地域の現行指定要件は、中央公害対策審議会における慎重な検討を経たものであり、現段階において、二酸化硫黄につきこれを改めるべき理由は存しないものと考える。
   (2) 窒素酸化物を地域指定要件の具体的指標として取り入れるためには、窒素酸化物と具体的な健康被害との因果関係を相当程度明らかにすることが必要であり、このため、従来の疫学的調査研究に加えて、動物実験や臨床的調査研究を推進することとしている。
 なお、複合大気汚染健康影響調査の結果については、現在学問的な評価解析を専門家に委託しているところであり、自動車道沿道住民健康影響調査については、近く結果の取りまとめが終わる見込みである。

(二) 眼、鼻、咽喉頭の炎症性疾病又は症状については、これらの大部分が急性あるいは一過性であることなどから、現段階ではこれを指定疾病に加えることについて消極に考えるが、この問題については引き続き検討してまいりたい。
 慢性気管支炎と診断されない程度のせきとたんについては、これを本制度の指定疾病に加えることは考えていない。
(三) 本制度では、非特異的な疾患について因果関係に関する制度上の取決めを行い、申請の当時指定地域内に住所を有していること等を認定の要件としている。したがつて、御指摘のような場合が現行の曝露要件から外れることは、制度としてやむを得ないものと考えている。

二について

(一) 第一種地域として指定されている地域においては、指定疾病に関し診断及び検査を行い得る医療機関はおおむね整備されているところであり、認定申請に際して特に支障はないものと考えている。
(二)(1) 主治医診断報告書の記載事項は、主治医が指定疾病の主要症状に着目しつつ労働能力の喪失度や生活困難度に関する所見を記載するうえで、おおむね妥当な内容になつているものと考えている。
   (2) 都道府県知事等が行う医学的検査の目的は、認定審査会における判断に資することにあり、主治医が日常の診療を通じては握した患者の症状や障害の程度を報告するに際しての不可欠の資料とは考えていない。
   (3)及び(4) 医学的検査の内容、回数等については、新たな知見を踏まえて検討を加えているところである。
 なお、検査の実施に当たつては、被検者に過度の負担がかかることのないよう十分配意していく必要があると考えている。

(三) 指定疾病による障害の程度の決定は、障害補償費又は児童補償手当が支給される程度の障害がある者についてなされるものである。