質問主意書

第80回国会(常会)

答弁書


答弁書第三一号

内閣参質八〇第三一号

  昭和五十二年六月二十一日

内閣総理大臣 福田 赳夫   


       参議院議長 河野 謙三 殿

参議院議員近藤忠孝君提出新日本製鉄株式会社広畑製鉄所における労働災害および時間外労働等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員近藤忠孝君提出新日本製鉄株式会社広畑製鉄所における労働災害および時間外労働等に関する質問に対する答弁書

一について

 下請企業の安全管理については、労働安全衛生法第二十九条で、下請企業が同法を遵守するよう元方事業者に対し下請企業への指導等の義務を課しているところであり、労働基準監督機関としては、同法の履行の確保を図るため監督指導を行つているところである。

二について

 西村茂樹氏の労働災害については、新日本製鉄株式会社広畑製鉄所(以下「広畑製鉄所」という。)から、昭和五十二年五月に、姫路労働基準監督署あて労働者死傷病報告が提出され、同監督署はそれを受理した。
 なお、事業者等が独自に作成する労働災害に関する統計については、労働基準監督機関が関与すべき問題ではないと考える。

三について

 広畑製鉄所第二製鋼機械運転職場の休憩時間については、その長さが、労働基準法の定める休憩時間に不足する場合があることも認められたので、労働基準監督機関においては、広畑製鉄所に対し、労働時間管理を厳格に行い、同法の定める休憩時間が確保されるよう指導することとしている。

四及び五について

1 交替制勤務の交替のための引継ぎ時間については、就業規則による所定労働時間の外で行われており、その時間は、一回当たり数分程度である。この引継ぎ時間を含めて、実労働時間が八時間を超えている場合には、原則として労働基準法第三十七条に基づく所定の割増賃金の支払が必要であるが、広畑製鉄所の一週平均の所定労働時間が三十八時間六分であつて法定の四十八時間を下回るので、就業規則を実態に照らして適正に改めることを含め、同法違反の生じないよう指導してまいりたい。
2 工長の引継ぎ時間については、一回に数十分にわたるものが認められるが、これについても右と同様に指導してまいりたい。
3 なお、ミーティングは、原則として所定労働時間内に行われていると認められるが、ミーティングを含めて実労働時間が八時間を超える場合については、労働基準法第三十七条に基づく所定の割増賃金を支払う必要があると考えられる。また、職場体操の時間については、その参加が強制されていないので労働時間とは認められない。

六について

 昼食検討会については、広畑製鉄所製鉄工場においては、毎週一回行われているが、業務上の事項につき打合せをするものではなく、参加が強制されるものでないので、労働基準法第三十四条第三項に定める休憩時間の自由利用を妨げるものとは認められない。