質問主意書

第80回国会(常会)

答弁書


答弁書第一〇号

内閣参質八〇第一〇号

  昭和五十二年三月十五日

内閣総理大臣 福田 赳夫   


       参議院議長 河野 謙三 殿

参議院議員星野力君提出椎茸の原木害菌被害に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員星野力君提出椎茸の原木害菌被害に関する質問に対する答弁書

一及び七について

 しいたけ等特用林産物の生産振興対策については、従来から林業構造改善事業により、生産施設及び集出荷貯蔵施設の整備並びに早期・特用樹種の育成について助成しているところである。
 また、昭和五十年度からは、特用林産物生産流通改善対策事業を実施し、特用林産物の主産地として発展を期待し得る地域において、樹林造成を行うほか、生産、加工、流通等の改善を図るための諸施設について助成しているところである。
 更に、昭和五十二年度には、しいたけ原木需給安定対策事業によりしいたけ原木の流通実態調査等を行つて、しいたけ原木の長期安定的な需給体制の確立を図ることとしており、今後とも、被害農林家への原木供給等の問題を含めきのこ類の生産農林家の保護育成のための施策の充実に努めてまいりたい。

二について

(一) 昭和五十年の熊本、大分、宮崎県下における害菌被害額は、これらの県からの報告によると約六億九千万円である。
(二) 害菌による被害の原因については、これまでの研究の結果、九州地区の被害原木からヒボクレア属菌に属する三種類の害菌が最も多く検出されたことから、害菌と被害との関連を明らかにするため、現在これら被害の再現について実証試験を実施中である。
(三) 害菌被害についての適切な対策を講ずるため、現在行政担当者及び試験研究機関によるしいたけ害菌対策ブロック協議会を開催しており、昭和五十二年度においては、新たに「しいたけの種菌活力度と害菌被害追跡調査」を行うこととしている。

三について

 きのこ関係の試験研究については、従来から国立林業試験場が主体となつて各都道府県の公立林業試験場等と十分な連絡をとりつつ鋭意推進してきているところである。
 また、公立林業試験場等における試験研究を推進するため、国の助成を積極的に実施しているところである。
 更に、昭和五十二年度においては、国立林業試験場に「きのこ研究室」を新設し、試験研究体制の強化を図る予定であり今後もその充実を図つてまいりたい。

四について

 しいたけ栽培農林家を対象とした共済制度を設けることについては、料率の算定、被害の認定方法等につき、様々な問題を含んでいるため、今後とも慎重に検討してまいりたい。

五について

 農林家のきのこ生産用原木購入資金等については、農林漁業金融公庫資金及び農業近代化資金により融資を行つているところである。
 融資枠については、資金需要に十分対応できるよう確保しているところであり、今後とも資金需要の推移を見ながら対応していく所存である。
 また、融資条件等については、昭和五十二年度において農林漁業金融公庫資金の貸付限度額を三〇〇万円(現行二〇〇万円)に引き上げることとする等その改善に努めており、今後においても林業をめぐる諸情勢を踏まえつつ、必要に応じその改善を図つてまいりたい。

六について

 災害等やむを得ない事情により農林家が既に借り受けている農林漁業金融公庫資金の償還が困難となつた場合には、個々の農林家の被害の実情に応じて償還期限の延長等の償還条件の緩和ができることとなつているので、害菌による被害農林家の実情に応じ適切な措置を講じるよう関係機関を指導してまいりたい。