質問主意書

第80回国会(常会)

質問主意書


質問第五一号

成田空港の強行開港をめぐる諸問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十二年六月九日

秦 豊   


       参議院議長 河野 謙三 殿


   成田空港の強行開港をめぐる諸問題に関する質問主意書

 去る四月十五日の予算委員会において、成田開港をしやにむに急ぐ理由を問うたところ、福田赳夫首相は数千億という投資が生かされていないこと及び「過密に起因する羽田空港の非常事態」を一刻も早く解消することの二つの理由を挙げておられた。そこで成田空港及び羽田空港の供用条件に係わる諸点につき、同首相の御見解を賜りたい。

一 成田開港のため投下された数千億円を生かすという名目によるしやにむな開港強行策の正当化について

(1) 空港公団の昭和五十一年度の欠損金(単年度)、同年度末における累積欠損金及び債務残高は、それぞれどれ程か。
(2) 国鉄の昭和五十一年度の欠損金(単年度)、同年度末における累積欠損金及び債務残高はそれぞれどれ程か。
(3) 健全な経済感覚、経営感覚があれば、空港公団と国鉄とではどちらの対策をより「しやにむに」急ぐべきものなのか、理由を添えて示されたい。
(4) 福田内閣になつてから、国鉄に対して真の効果のある対策は、どのように「しやにむに」行われているか。

二 「過密に起因する羽田空港の非常事態」を一刻も早く解消するという名目によるしやにむな開港強行策の正当化について

(1) 成田開港により羽田の国際線が「ほぼ」成田に移転するのであるから、「過密に起因する羽田の非常事態」が解消されるということなのか。
(2) 首相の主張する「過密に起因する羽田の非常事態」を解消するには、羽田空港の一日当りの処理能力(発着回数)、一時間当りの処理能力、或いは連続する三時間当りの処理能力を「現在」どの程度に定め直せばよいのか。
(3) 交通機関の過密による非常事態から安全が確保されるというのは、国民にとつて法律により保護された利益(法益)ではないのか。
(4) 危険性が排除されるというのが、法益であるとすれば、現在の羽田空港の供用の実態は法律違反ということにならないのか。
(5) 成田開港まで、それが何時であれ、「過密による羽田の非常事態」を解消するために、何故現在以上に国内線を減便するなどして便数制限を行わないのか。

三 成田開港後の羽田空港の供用条件について

(1) 羽田空港は空港整備法による第一種空港から第二種空港へ「格下げ」するのか。
(2) 国際線の受け入れは、どのような場合か、その総てを列挙されたい。
(3) 国際線を受け入れる法律上の根拠規定は何か。
(4) 航空法第八章の手続きをふんでいれば、どのような外国航空機も受け入れるのか。

四 成田開港について

(1) 福田内閣はしやにむな強行策により年内開港をめざすというが、これは参院選向けであつて、選挙後の適当な時期に年度内に変更せざるを得なくなるという指摘があるが、右指摘の内容は事実か。
(2) 成田開港を強行し、既に指摘されている危険や混乱が発生して、つまりは強行策が失敗した場合、移転した国際線を再び羽田へ戻すのか。

  右質問する。