第80回国会(常会)
質問第四七号
能登中核工業団地建設に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。 昭和五十二年六月九日 近藤 忠孝
能登中核工業団地建設に関する質問主意書 石川県羽咋郡志賀町に建設される能登中核工業団地は、昭和五十二年起工式を行い、本格的な着工の段階に入つた。
一 志賀町赤住地区への北陸電力株式会社による原子力発電所建設計画については、隣接地域での工業団地建設にともない、安全性を確保する見地から再検討が求められている。政府は北陸電力の当該計画の再検討と、その結論のでるまでの建設の決定の延期を指導すべきであると考えるがどうか。 二 団地建設にともなう石川県および志賀町の財政負担は約七十億円と見込まれている。これは、志賀町にとつて過大な財政負担であり、しかも誘置企業が確定していない今日、財政負担だけが先行する危険性がある。志賀町の財政負担を可能な限り軽減するため、関連公共事業の大半を占める下水道工事については誘置企業が建設費の相当分を負担するよう強力に指導するとともに、地域振興整備公団の「立替施工制度」を積極的に活用する必要があると考えるがどうか。 三 団地建設および関連公共事業には、県道の改良、舗装、下水道工事、河川改修事業などが含まれている。これら事業のうち第一期造成工事では工事量の八十五パーセントを大企業が占める計画となつている。これら工事の発注に際し、地域産業振興の立場から、地元中小企業、中小建設業者などが共同受注などで受注量が拡大できるよう指導すべきであると考えるがどうか。 四 工業団地の建設にともない、生活施設はもとより、教育施設の整備が必要となる。団地計画では、地域外から一千世帯の転入が見込まれており、対応する教育施設の整備が急がれている。当面、第一期造成完成年度である昭和五十三年度に合わせて、志賀町住民はもとより、新規転入者の児童、生徒の教育に支障をきたさないよう学校建設を行う必要がある。
五 団地の雇用期待人員は約四、五〇〇名とされているが、志賀町の就業人口は約三、〇〇〇名である。団地企業への就業を優先するならば、同町の農業、繊維産業に重大支障をきたすことになる。政府は、農業や地場産業の重要な役割にかんがみ、その育成のための施策を明らかにし、その施行について県、町にたいし指導すべきであると考えるがどうか。 六 団地への進出企業に就業する地元の労働者は企業の収益動向や不況の影響等による解雇や一時休業などの一次的な対象とされる事態が考えられるので、政府はかかる事態が安易に起ることのないよう、雇用条件、労働条件等について厳しく監督すべきだと考えるがどうか。 七 団地に要する工業用水を確保するため、米町川ダム建設が計画されているが、建設を急ぐあまり十分な調査・研究を行わないまま建設されようとしている。
右質問する。 |