質問主意書

第80回国会(常会)

質問主意書


質問第四六号

社会福祉施設の拡充に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十二年六月九日

鈴木 一弘   


       参議院議長 河野 謙三 殿


   社会福祉施設の拡充に関する質問主意書

 心身障害者対策基本法は、心身障害者の福祉を増進するための、国および地方公共団体の責務を明確にしており、また、身体障害者福祉法においても、身体障害者に対する更生の援助と、そのために必要な保護の実施を、国および地方公共団体の責務として規定している。
 しかしながら、重度障害者に対する施策は立ち遅れており、今後の年長者の増加、施設の地域的偏在等を考えると、施策の一層の促進が緊要であると思われる。
 よつて、次の諸点について、政府の明確にして誠意ある答弁を求める。

一 身体障害者対策を大別すると、在宅障害者対策及び施設入所者対策に判別できるが、特に、重度障害者に関し、どちらに重点を置き、現状及び今後の施策の促進を図るつもりであるのか。

二 昭和四十六年度以降実施された、社会福祉施設緊急整備五ケ年計画は、昭和五十年度において完了したと聞いている。
 しかしながら、各施設ごとに、その達成率を比較した場合、ばらつきがあり、特に重度障害者の施設整備は、他の施設に比し、達成率が不充分であつたと思われるにもかかわらず、その後、社会福祉施設の整備計画が立案されていないのはなぜなのか。
 昭和四十九年二月の社会保障長期計画懇談会が発表した「社会福祉施設整備計画の改定について」においても、「すみやかに施設種類別の計画数の検討を行い……新計画の具体化をはかるべきである。」と、新計画の作成を促進するよう述べている。
 今後の整備計画について伺いたい。

三 身体障害者にとつては、社会復帰施設の充実が急務であり、また、前述の社会保障長期懇談会の提言の中にも、重度の身体障害者更生援護施設について、「今後の需要増も見込まれるので、新計画の重点的目標の一つとすべきこと。」という一項目がある。
 また、地域的ニードの高い施設にもかかわらず、現在三十一ケ所、定員二千百七十名と需要に応じきれるだけの体制が整つていないと思われる。
 また、青森、秋田等、未設置が一府二十六県にわたる現状において、これらの地方における対策は、今後どのように推進するのか伺いたい。

四 昭和三十八年六月八日付、厚生省発社百九十二号により「重度身体障害者更生援護施設の設備及び運営について」という社会局長通知が出され、その中において、収容定員は、五十名以上となつている。
 しかしながら、他の社会福祉施設については、三十名以上となつており、重度の場合に限り五十名以上となつているが、運営上の問題として、収容定員は、少数であるほど、その効果が期待できると思うが、この基準の合理的根拠は何であるのか。また、この基準が、身体障害者福祉法二十八条の最低基準とされ、これに合致しない場合には、国庫補助の対象とはされていない。
 こうした基準に合致しない施設に対しての国庫補助を含めた対策について伺いたい。

  右質問する。