質問主意書

第80回国会(常会)

質問主意書


質問第三八号

季節的に人口が急増する観光地における環境整備に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十二年六月八日

近藤 忠孝   


       参議院議長 河野 謙三 殿


   季節的に人口が急増する観光地における環境整備に関する質問主意書

 文化、スポーツ、レクリエーション、あるいは自然に接するなど国民のレジャー要求は心身の疲労回復をはかる上からも重要であり、保養、観光は国政上も重視されているところである。
 余暇を利用して多くの人が訪れる観光、保養地の中には季節的に観光入込数が急増する自治体が少なくなく、例えば、長野県軽井沢町の場合、町人口約一万五千人に対し盛夏には約十四万人に、菅平を擁する同県真田町の場合も季節的に人口が十倍に膨張する。
 このため、観光地を擁するこれら自治体ではし尿、ゴミ、上下水道などの施設は、最大人口に対応するため、平常人口の何倍もの処理能力を必要とするにもかかわらず、その建設費などは定住人口で負担しなければならないという問題が生じている。
 加えて、これら観光地で観光業を営む業者の中には、本社が当該自治体外にあつて、従業員も多くないものもあり、法人税などによる収入によつても季節的観光人口に応じた施設の負担を到底まかなえないのが現状である。
 私は、観光、保養などの国民的重要性からみて、観光、保養客が十分に休養できるよう入込観光客をうけ入れるにふさわしい公共施設の整備などをはかるため、国が当該観光地を擁する自治体に対し、特別の援助を行う必要があると考え、以下質問する。

一 観光地を擁する地方自治体に対する地方交付税の算定基礎に、観光による季節的人口増を勘案することは一部事務について実施されているが、この対象事業を拡大するとともに、投資的経費についても十分な措置を行う必要があると思うがどうか。
 なお、観光客の入込人数については、客観的で実情を十分反映できる数値の採用を行う必要があると思うがどうか。

二 特定環境保全公共下水道は、一般の公共下水道と同率の補助率であるが、定住人口の少ない地方自治体の場合、地元負担が極めて高くなるので、国が、自然、環境保護の観点から補助率の引上げを考えるべきであると思うがどうか。

三 ゴミ焼却場やし尿処理施設については、最大人口に見合う施設をつくることが望ましいが、前項同様、財政上負担しきれないところから設置できない場合、環境汚染を招くことになるので、これらの建設にあたつては観光入込による季節的な人口増を勘案し、補助率の引上げを行うべきであると考えるがどうか。

四 上水道についても最大人口に応じきる能力をもつ施設が求められるが、歴史ある観光地での老朽水道管等の損傷の補償や水源の開発について特別の援助を行うべきだと考えるが如何か。

五 軽井沢町の例をみれば、入込観光客の多い盛夏には、救急車の出動対象の約八割は町民以外の人であり、年平均でも六割以上が町外の人である。従つて、地方交付税の消防費の財政需要額の算定にあたり、これら観光地の特殊性を配慮すべきであると考えるが如何か。

六 スキー場を擁する観光地では冬期に負傷者が急増し、長野県の場合だけでも約六千人が冬期に負傷している。従つて、冬期に臨時の診療所等の開設がのぞまれており、その際、国が援助をすべきであると考えるが如何か。

  右質問する。