質問主意書

第80回国会(常会)

質問主意書


質問第三二号

福井県若狭湾地帯における原子力発電所の重大な危険から住民を守るための施策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十二年六月八日

近藤 忠孝   


       参議院議長 河野 謙三 殿


   福井県若狭湾地帯における原子力発電所の重大な危険から住民を守るための施策に関する質問主意書

 福井県若狭湾地帯は、日本原子力発電株式会社敦賀発電所、関西電力株式会社美浜発電所、同高浜発電所などの原子力発電所が集中して立地されており、これらの発電所では運転開始以来事故が続発している。そのため、設備利用率は低下しており、全国的にも三月度はたつた二十一・九パーセントと電力採算ベースを大きくおちこんでいる。
 原子力発電には、誤操作、不注意による事故はもとより、原子炉圧力容器、第一次配管蒸気発生器などのわずかな事故でも重大災害につながる危険性がつねにあり、現実に事故が続発していること自体、原子力発電所が住民にとつて重大な危険性をもつていることをものがたつている。
 従つて、運転中の原子力発電所の総点検を行う必要があるが、同時に、事業者や政府が、地方公共団体はもとより、地元住民の理解と協力をえて充分な防災体制を確立しておくことがきわめて重要であると考える。よつて、福井県若狭湾地帯における原子力防災体制の整備に関して以下の質問を行う。

一 大型商業用発電炉が集中して立地しているこの地域の住民に対し、原子力災害の特殊性を正しく広報し、防災訓練を実施することは、住民の理解と協力をうる上で重要なことと考えるが如何か。

二 原子力災害の特殊性についての地元住民への広報活動について

(一) 原子力施設の概要について地元住民に広報されているか。
(二) 放射能の特性や原子力災害の特異性は広報されているか。
(三) 原子力災害発生時の留意事項についてはどのような事項があげられているか。また、その留意事項は広報されているか。

三 原子力災害に対する防災訓練について

(一) 災害の予防及び対策に責任をもつ防災関係機関の職員、従業員等の防災訓練は実施されているか。
(二) 防災関係機関と地元住民とが一体となつた防災訓練は実施されているか。

四 避難対策について

(一) どういう時に、どのような放射性物質がどの程度外にもれることを想定しているのか。
(二) 災害発生時の避難に即応する見地からの気象、海象等の地域的自然状況の常時把握を行つている機関はどこか。また、どのような項目を把握しているか。
(三) 避難訓練は実施されているか。
(四) 避難用道路はあるか。
(五) 避難場所、経路は地元全住民に徹底されているか。
(六) 避難時の指示、誘導等は誰があたるかは地元全住民に徹底されているか。
(七) 災害発生時の避難命令や避難上の指示はどのような方法で伝達されるのか。また全地元住民に常時緊急に伝達される体制はできているか。
(八) 前項の伝達が全地元住民に徹底されるまでに何分ぐらいかかるか。また、伝達についての訓練はされたことがあるか。
(九) 避難地域内の住民以外の通行者や釣り客等への避難等の指示、伝達はどのように行うことになつているか。

  右質問する。