質問主意書

第80回国会(常会)

質問主意書


質問第一八号

絹織物業及びその関連業種に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十二年五月十六日

矢原 秀男   


       参議院議長 河野 謙三 殿


   絹織物業及びその関連業種に関する質問主意書

 絹織物業及びその関連業種の経営危機は、日毎に深刻さを増しており、救済は緊急の課題である。
 これは、構造不況にあえぐ繊維業界全般に亘ることでもあり、近代の我が国の経済発展への貢献からすると、隔世の感がする。
 特に、「但馬ちりめん」を始めとする絹織物は、本来地場産業として、我が国古来の風土と伝統の中に育つたにもかかわらず、繊維産業の構造変革の波を正面から受けて、その存続すら危ぶまれており、加うるに、国際市場にあつても、諸外国の良好な輸出市場である故に、緊急かつ、有効な対策の必要がある。
 さらに、過日の対策申し入れ(五十二年一月十一日)及び国会審議(参議院決算委・五十二年一月二十八日)後の対策に、政府の誠意が見られないこともあり、ここに重ねて、見解を問うものである。

一 五十一年春に、韓国及び中国との間に結んだ、生糸・絹織物輸入協定(通称)について、

(一) 各協定の内容及びその履行の状況。
(二) さらに、本年度の両国との協定締結への経緯と見通し。
(三) 特に、絹織物及び絹縫製品の輸入に関する政府の方針はどうか。

二 設備共同廃棄事業について、

(一) 現在までの実績及び廃棄必要見込み。
(二) 事業の円滑な運営上、今後改善の必要があると思うが、具体的にどうか。
(三) 絹製品の需要見通しが、設備廃棄と深く関連するが、どのように試算しているのか。

三 その他の対策及び現状について、

(一) 市中在庫の増大が市況圧迫の要因となるが、現在の在庫量及び市況分析をどのように行つているのか。
(二) 不況克服の為の長期低利融資、及び中小企業信用保険法に基づく、倒産関連業種指定等の対策を具体的にどのように、実施・改善されようとしているのか。
(三) 五十二年生糸年度の基準糸価は、慎重に決定すべきであるが見通しはどうか。
(四) 蚕糸業振興審議会価格部会の構成員について、今後、委員構成の変更をどう考えるか。
(五) 糸価の、我が国での市場価格部と、国際糸価(例・中国の欧州向け売渡し価格)について、過去二ケ年の各月毎の一定期日の推移はどうか。
(六) 生糸の一元輸入制度が継続される間、輸入生糸の実需者への売渡し数量について、その拡大と計画的実施が図られねばならないと考えるがどうか。
(七) 絹業安定緊急対策第七項の検討の推移について伺いたい。

 以上、十三項目に亘り、明確なる回答を求めるものである。

  右質問する。