質問主意書

第78回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第二号

内閣参質七八第二号

  昭和五十一年十月十二日

内閣総理大臣 三木 武夫   


       参議院議長 河野 謙三 殿

参議院議員内田善利君提出ローマ字教育及びローマ字使用に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員内田善利君提出ローマ字教育及びローマ字使用に関する質問に対する答弁書

一について

 小・中学校のローマ字学習におけるつづり方の指導については、昭和二十八年八月三十一日付け文部省初等中等教育局長・調査局長通達により、その後に告示された昭和二十九年内閣告示第一号「ローマ字のつづり方」(以下「内閣告示」という。)の第一表と同一内容のつづり方によることを原則としているが、内閣告示の第二表と同一内容のつづり方についても、学習上混乱を起こさないように配慮しつつ、適宜指導することとしている。

二について

 昭和二十八年三月十二日の国語審議会建議「ローマ字つづり方の単一化について」は、戦後、一般社会で国語を書き表すローマ字のつづり方として三種類のものが現実に用いられてきたことについて、その単一化を図ることが重要な事柄であると認め、慎重な審議を重ねた結果、国語教育上や公式の文書、地名などに用いられる場合のよりどころとして第一表を、また、現実に通用しているその他のつづり方を考慮して第二表をそれぞれ定め、これらの具体的な取扱いについては政府において決定することとし、ローマ字の単一なつづり方が政府部内及び義務教育はもとより広く一般社会に用いられるよう必要な処置をとることを要望したものである。
 政府としては、これを受けて、ローマ字のつづり方の経緯と実情に照らし現段階における実行可能なものとして、内閣告示及び昭和二十九年内閣訓令第一号「ローマ字のつづり方の実施について」(以下「内閣訓令」という。)を出したものである。

三について

 御指摘の答弁の趣旨は、内閣告示には、第一表のほか、第二表が掲げられており、国際的関係その他従来の慣例をにわかに改めがたい事情にある場合には第二表によつても差し支えないこととされている旨を述べたものである。
 内閣告示の「まえがき2」の「国際的関係その他従来の慣例をにわかに改めがたい事情にある場合」の判断は当事者が行うものと解するが、その際は、内閣告示の趣旨に従い、第一表ができるだけ尊重されることが期待される。
 なお、内閣訓令にいう「このつづり方による」とは、内閣告示の全体を指すものと解する。

四について

 官庁等におけるローマ字使用の実態については、現在、文化庁において調査中である。
 内閣訓令が政府部内において遵守さるべきことは当然のことであり、その趣旨の徹底について特別の措置はとつていない。