質問主意書

第77回国会(常会)

答弁書


答弁書第二二号

内閣参質七七第二二号

  昭和五十一年六月四日

内閣総理大臣 三木 武夫   


       参議院議長 河野 謙三 殿

参議院議員喜屋武眞榮君提出沖繩県における米軍基地内の労働災害等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員喜屋武眞榮君提出沖繩県における米軍基地内の労働災害等に関する質問に対する答弁書

一及び三から五までについて

1 米軍は、安保条約及び地位協定に基づき、我が国に駐留することを認められているが、これは我が国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与することを目的としているものであり、かかる目的を有する米軍が我が国に駐留していることは、我が国益を確保する上で必要であると考える。
2 我が国に駐留する米軍に対しては、一般国際法並びに安保条約及び地位協定に基づき、右目的達成上必要な限りでの一定の活動が認められているが、憲法において保障された国民の基本的人権は、公共の福祉による制約を受ける場合を別として、最大限に尊重されるべきものであり、我が国に駐留する米軍の活動によつて侵害されてはならないことは当然である。
3 沖繩県においては、多くの施設及び区域が存在し、その結果、種々の問題が生じていることは、政府としても十分認識しており、沖繩県民の民生安定、人権侵害防止等のため従来よりできる限りの努力を払つてきているが、今後もかかる努力を続けてゆく所存である。

二について

 我が国は、米軍に対し安保条約及び地位協定の規定に従つて我が国への出入国を認めているが、右出入は、我が国が、外国軍隊の地位に関する一般国際法上の原則及び同様な国際条約における先例に従つて我が国の主権の行使として米国との間に締結した条約によつて行われているものである。

六について

 喜納昌秀氏の請求権については、地位協定第十八条第五項に基づき処理されるものと考えられ、その具体的手続については、既に那覇防衛施設局を通じて同氏等に対し説明を行つている。
 賠償額については、同氏からの請求に基づいて、労働者災害補償保険法による給付に係る分を除き、防衛施設庁において算定することとなるが、その場合でも同氏の症状が固定しないと最終的に算定することは困難である。

七について

 喜納昌秀氏の臭化メチルによる中毒症については、所轄労働基準監督署が、昭和五十一年三月労働者災害補償保険法に基づく療養補償給付請求書を受理し、同年四月業務上の疾病と認定して、必要な療養の給付を行つているところである。
 なお、同法に基づく休業補償給付等については、所定の請求手続をとるよう同氏等に対し説明しているところである。

八について

 米軍施設及び区域内における労働者の安全衛生について、政府としては、労働安全衛生法等に基づく安全衛生教育の徹底、作業場の整備、適切な健康診断の実施等につき、米側に対して要請するとともにその実施に努めており、また、労働基準監督機関による検査を行うこと等により、その履行の確保を図つてきているところであるが、今後ともかかる努力を続けてまいりたい。