質問主意書

第77回国会(常会)

答弁書


答弁書第一八号

内閣参質七七第一八号

  昭和五十一年五月二十八日

内閣総理大臣 三木 武夫   


       参議院議長 河野 謙三 殿

参議院議員秦豊君提出参議院地方区定数に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員秦豊君提出参議院地方区定数に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の昭和三十九年二月五日の最高裁判所大法廷判決は参議院地方選出議員の選挙区の議員定数の不均衡に関するものであり、昭和五十一年四月十四日の最高裁判所大法廷判決は衆議院議員の選挙区の議員定数の不均衡に関するものであるが、両判決とも、各選挙区の議員定数の配分決定の要素として、選挙人数又は人口数と配分議員定数との比率以外の他の多くの要素を考慮してしかるべきことを認めつつも、選挙人数又は人口数と配分議員定数との比率の平等を最も重要な要素として考慮すべきことが憲法上要請されているとするものであると理解されるので、基本的には同じ考え方に立つ判決であると考える。

二について

 昭和五十一年四月十四日の最高裁判所大法廷判決は、衆議院議員の選挙区の議員定数の配分に関するものであり、参議院地方選出議員の選挙区の議員定数の配分については、衆議院議員の場合と異なり、前提となる考慮すべき要素に違いがあることは明らかであるから、参議院地方選出議員の定数配分規定が直ちに違憲であるとは断定し難いと考えている。御指摘のいわゆる剱木試案については、政府として、公的な立場で最終的な意見を述べることは差し控えたいが、この試案は、参議院地方選出議員の選挙区の議員定数について現行総定数の範囲内でいわゆる逆転現象を生じているような選挙区の最小限度の是正を行おうとするものであると聞いており、現行の議員定数配分規定の下における人口数と議員定数との比率の偏差を拡大するものではないと思われるから、直ちに違憲とは断定し難いものと考える。

三について

 参議院議員の定数の配分については、第九十一回帝国議会に提出された参議院議員選挙法案についての政府の提案理由の説明で「参議院の地位と職能とに鑑み、議員の定数は衆議院議員に比し相当減少することが適当であると考へられまするが、他面議案審査、其の他議院の活動に支障なからしめることが必要でありますから、是等の事情を酌量致しまして、議員定数は之を二百五十人と致したのであります、其の中百五十人を地方選出議員とし、各選挙区に於て選挙すべき議員の数は、最近の人口調査の結果に基きまして、各都道府県の人口に比例して、最低二人、最高八人の間に於て、半数交代を可能ならしめるが為にそれぞれ偶数となるやうに定めることとし、残りの百人を全国選出議員と定めたのであります、」と述べていることは承知している。