質問主意書

第77回国会(常会)

答弁書


答弁書第一〇号

内閣参質七七第一〇号

  昭和五十一年五月二十八日

内閣総理大臣 三木 武夫   


       参議院議長 河野 謙三 殿

参議院議員和田静夫君提出当面する信用金庫行政に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員和田静夫君提出当面する信用金庫行政に関する質問に対する答弁書

一について

 全国信用金庫連合会(以下「全信連」という。)は、信用金庫の余裕金を集中し、その効率的運用を図り、信用金庫の地域的、季節的資金の需給調整等の機能を果たしている。
 全信連の資金運用に当たつては、全信連が信用金庫の発展に資するための機関であることから、信用金庫に対する貸付けと並んで信用金庫の取引先の中小企業者等に対する代理貸付けについては、優先的に、かつ、十分に確保するよう指導しているところである。
 一方、全信連の資金は、おおむね信用金庫からの定期預金と金庫短期資金からなるが、それらの資金量及び構成は、コール・レートの水準等時々の金融情勢により変動するという一般の金融機関には見られない特徴がある。したがつて、全信連の資金運用に当たつては、同時に、これらの変動によつて全信連の経営の健全性が損なわれることのないよう適切に配慮していく必要がある。
 なお、全信連の資金運用は、信用金庫の資金運用の在り方に左右される要素が大きいが、信用金庫の資金運用についても、信用金庫の中小企業専門金融機関としての使命及び経営の安定性の確保の見地から、コール・ローン等余資運用による収益にいたずらに依存することがないよう指導しているところである。(資料 別紙参照)

二について

ア、信金総合研究所は、経済社会の変化の中で地域金融機関たる信用金庫の一層の発展を図るため、学者専門家の参加を得て地域経済、地域社会、地域文化等の調査研究及びそれらの情報提供等を行う目的で、昭和四十八年十月、十五の信用金庫の出資(資本金一億五百万円)により設立されたものである。
イ、信金総合研究所は、設立以来種々の研究を行つてきたが、同研究所の中心課題であつたコミュニティ・データ・バンク構想の推進のためには多額の資金投入を要するところ、増資により事業継続という考え方もあつたが、設立直後の石油危機等経済情勢の大きな変化に起因して調査研究等に要する経費支出が増嵩したこと等もあり、昭和五十年十月、解散することとなつた。
ウ、当該出資に対する評価は当該信用金庫の会員が判断すべき問題であると考える。
エ、そのような事実はない。
オ、信用金庫の理事長について、商法第四百八十六条等のいわゆる特別背任罪を定めた規定はない。
 なお、信用金庫の理事長の本件出資が、自己若しくは第三者の利益を図り、又は当該信用金庫に損害を加える目的をもつて、その任務に背いたものであり、かつ、その結果、当該信用金庫に財産上の損害を加えたものであると認められない以上、刑法第二百四十七条の背任罪も成立しない。
カ、そのような事実はない。

三について

 事務量の増大に対処するとともに顧客サービスの向上等を図るため、信用金庫においてもコンピューター化が進行しているところである。
 どのような形態のコンピューター化を行うかは基本的には当該信用金庫経営者の長期的な経営計画に基づいた自主的な判断にゆだねられるべき問題であると考えるが、コンピューター化の形態いかんによつては、多額の経費を要することとなるので、その経費負担により当該信用金庫の経営の健全性に支障を生ずることがないよう適切に指導しているところである。

別紙 全信連主要勘定の推移 1/2

別紙 全信連主要勘定の推移 2/2