質問主意書

第77回国会(常会)

答弁書


答弁書第四号

内閣参質七七第四号

  昭和五十一年三月九日


内閣総理大臣 三木 武夫   


       参議院議長 河野 謙三 殿

参議院議員喜屋武眞榮君提出沖繩県の戦後処理並びに救済措置等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員喜屋武眞榮君提出沖繩県の戦後処理並びに救済措置等に関する質問に対する答弁書

一 について

 復帰特別措置の期限切れに伴う取扱いについては、昨年十二月、沖繩県知事から政府に対し、期限延長等の要請がなされたところであるが、政府としては、沖繩県その他地元各方面からつぶさに事情を聴取するとともに、その後の社会経済情勢の変化及び沖繩の民生安定、経済動向の実態等を考慮しつつ、慎重に検討を進めてまいりたい。

二 について

1 米側の労務の需要の減少による人員整理に当たつては、米側からできるだけ早期の予告を受けることによつて配置転換等を図り、実質的な解雇をできるだけ少なくするよう米側との調整に努めているところである。
2 やむを得ず離職する従業員に対しては、離職時に支給する特別給付金の増額等の措置を講ずるとともに、その再就職を促進するため、当面は、

(1) 就職促進手当等の各種援護措置の拡充
(2) 離職前を含めた職業訓練及び職業指導の強化
(3) 県外就職が可能な者に対する広域職業紹介の推進
(4) 自営業を行う者に対する沖繩振興開発金融公庫資金の融資
(5) 公共事業の拡充と失業者の就労の促進

等に努めていくこととしている。
3 なお、基本的には、産業の振興を通じて、県内の雇用の機会を確保することが必要であるので、各種産業基盤の整備に努めるとともに、昨年十月、立地企業に対し、税制、金融上の優遇措置が講ぜられる工業開発地区の指定を行うなどの施策を講じているところである。

三 について

 沖繩の区域においては、老齢福祉年金の支給は、沖繩の老齢年金に関する暫定措置法の規定によつて昭和四十二年七月から開始された。
 本土復帰に際しては、沖繩で取得した年金給付の受給権をそのまま承継することとし、沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律第百四条第三項の規定により、現在、福祉年金の支給を行つているものである。
 年金制度は、制度の創設又は改正の時点から将来に向つて適用される建前であり、沖繩における制度創設時以前にさかのぼつて給付することは考えていない。

四 について

 昨年十月十五日に南西航空株式会社から申請のあつた旅客運賃等の変更については、同年十二月十五日に運輸審議会に諮問したところであり、現在同審議会において審議中である。運輸大臣は、同審議会の答申を得て処分を行うこととなるが、その時期はまだ予定できない。
 離島航空路線に対する助成については、従来から、同路線の維持のため、同路線に就航する短距離離着陸機の購入に要する経費の一部を補助してきたところであるが、更にこれに加えて、短距離離着陸機を使用する離島航空路線を運営する定期航空運送事業者に対して、同路線の維持と安全性の向上に資するため、これに要する経費の一部を補助することとし、特定離島定期航空運航費補助金として一億五百万円を現在国会に提出中の昭和五十一年度予算に計上している。予算の成立後は、当該事業者が企業経営の合理化等の努力をすることを前提として、補助金を交付することといたしたい。
 空港整備については、現在、昭和五十一年度を初年度とする空港整備五箇年計画を作成しており、その中で航空輸送需要の多い路線についてはジェット化を含めて検討しているところであつて、個別の空港の整備計画については、今後具体化させてまいりたい。

五 について

 市町村道等は、市町村等の負担において、その敷地に係る権原を取得するのが原則であると考えるが、御質問の返還軍用地内の道路については、米軍の施設・区域内にあつた当時においても住民の交通の用に供されていたこと等の事情を考慮し、具体的な事案ごとに可能な措置を検討することといたしたい。

六 について

1 地方交付税率の引上げについては、国・地方を通ずるそれぞれの財政状況等を勘案しながら検討すべきものであり、当面の問題として地方交付税率の引上げを行うことは極めて困難であると考える。
 なお、政府としては、毎年度地方財政計画の策定を通じて地方財政の運営に支障を生ずることのないよう所要の措置を講じているが、特に明年度については、地方交付税及び地方債について、各般の特例措置を講ずることにより、その運営に支障を来さないよう措置している。
2 国庫補助負担事業に係る地方公共団体の超過負担については、従来からその解消に努めてきたところであり、これまでも特に問題があるとされていた事業については、大蔵省、自治省及び関係省庁共同で実態調査を行い、その結果に基づき、所要の是正措置を講じてきたところである。
 また、国庫補助負担金に係る補助数量の基準、補助対象範囲等については、社会経済情勢の推移に対応し、常に見直しを行つていくべきものと考えており、今後とも社会経済の推移等諸般の情勢を考慮してその改善に努めてまいりたい。
3 地方債について許可制度を設けているのは、

(1) 国全体の資金を公共部門と民間部門に計画的に配分するに当たり、地方公共団体に対する資金配分についても許可制度を通じて調整する必要があること。
(2) 資金調達が困難な力の弱い団体には、長期低利の政府資金を配分する等の調整を施す必要があること。
(3) 個々の地方公共団体の財政運営の健全性を確保するために必要があること。

等の理由に基づくものであり、廃止することは考えていない。
 なお、起債申請手続については、これまでもできる限りその簡素化を図つてきたところであるが、今後とも引き続き努力いたしたい。