質問主意書

第77回国会(常会)

質問主意書


質問第一六号

ロッキード事件調査のための国政調査権と守秘義務ならびに刑事訴訟法四十七条但し書きの「公益上の必要」等に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十一年五月十七日

小野 明   


       参議院議長 河野 謙三 殿


   ロッキード事件調査のための国政調査権と守秘義務ならびに刑事訴訟法四十七条但し書きの「公益上の必要」等に関する再質問主意書

 昭和五十一年五月十四日付の政府答弁書に不十分な点があるので再質問する。

一 政府は、右の答弁書において、報告書の提出や担当検察官の証言等の方法による協力はできないが、『政府としては、国会の国政調査活動を十分尊重し、政府の立場から許される最大限の協力をすべきものと考えるから、捜査機関による真相解明に支障のない限度において、国会における政府当局者の答弁等を通じてできる限りの協力を行いたい』と述べている。しかし、このような方法による協力によつては、ロッキード問題にかかわる政治的、道義的責任の有無についての調査のため本院が行つている事案解明の努力には資するところがなく、ひいては政府が国会の国政調査権を十分尊重したことにはならないものと考えるが、政府の見解を伺いたい。

二 ロッキード問題について捜査が続行されている現段階で将来の協力の具体的方法を明らかにすることができないのであるならば、不起訴処分にとどまる場合について一般的には、政府は、どのような協力の方法があると考えて「最大限の協力」をすると述べておられるのか明らかにされたい。

三 本件において不起訴処分となつた高官名を公表することは、今後における政治的腐敗を防止する為の公訴時効制度の改善、収賄罪に関する罰則の強化、政治献金に対する規制の強化等国会において必要と考える立法を行う上で不可欠な資料となると思われる。また、このことは民主政治の根幹を守ることになり、ひいては国の重大な利益にかかわるものと考えられる。更に、公務員や政治家の名誉の保護については、刑法においては一般私人のそれよりもゆるめられて規定されており(刑法第二百三十条の二第三項)、今や国民の最大の関心事は「灰色の高官名及び賄賂収受」の事実関係であることを考えると、国民の知る権利にこたえることがまさしく刑事訴訟法第四十七条但し書きの「公益上の必要」、刑法第二百三十条の二の「公益」に当たるものと考えるが、政府は、これらについてどのように考えておられるのか。