質問主意書

第77回国会(常会)

質問主意書


質問第一二号

ロッキード事件調査のための国政調査権と守秘義務ならびに刑事訴訟法四十七条但し書きの「公益上の必要」等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十一年五月六日

小野 明   


       参議院議長 河野 謙三 殿


   ロッキード事件調査のための国政調査権と守秘義務ならびに刑事訴訟法四十七条但し書きの「公益上の必要」等に関する質問主意書

 本院は、本年四月二十一日のいわゆる両院議長裁定第四項に示されているとおり、ロッキード問題に関し、本件にかかわる政治的・道義的責任の有無について全力を挙げて調査を進めているところである。
 三木内閣総理大臣は、去る昭和四十九年十二月二十三日、本院予算委員会において、国政調査権と守秘義務との関連において、政府の統一見解として、「政府としては、国会の国政調査活動が十分その目的を達成できるよう、政府の立場から許される最大限の協力をすべきものと考える。」と述べ、また両院議長裁定は、その第四項において「国会の国政調査権の行使に当たつては、政府は、事態の推移を見て刑事訴訟法の立法趣旨をも踏まえて最善の協力を行うものとする。」と述べている。
 右にかんがみ、政府は本院の事案解明については、最善の協力をすべきものと考える。
 そこで、次の五項目について質問する。

一 昭和二十七年のいわゆる二重煙突事件においては、政府は、本院に対し報告書の提出及び担当検察官の証言という方法で協力を行つた事例があるが、現に捜査が行われている本件については、どの程度の協力が可能であると考えるのか。

二 次に、本件にかかる捜査の推移によつては、不起訴処分にとどまる場合も考えられるが、政府は、このような場合に本院の調査にどのような方法で協力しようとする考えであるのか。

三 右の質問に関連して、刑事訴訟法第四十七条ただし書は「公益上の必要その他の事由があつて、相当と認められる場合」には訴訟に関する書類を公判の開廷前においても公にしうる旨を定めているが、本件に関係して不起訴と決定された者の関係書類を本院が国政調査権に基づいて要求する場合は、「公益上の必要」が存する場合に該当するものと解するか否か。

四 政府は、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律(以下「議院証言法」という。)第五条第一項にいう「職務上の秘密」とは何であると解するのか。
 また、本院が国政調査権に基づいて前記三の関係書類の提出を要求する場合、政府は、当該書類は同項にいう「職務上の秘密に関する書類」であると解するか否か。

五 更に政府は、議院証言法第五条第三項にいう「国家の重大な利益」とは何であると解するのか。
 仮に政府は、前記三の関係書類が「職務上の秘密に関する書類」であるとした場合に、当該書類を本件国政調査の目的に応じ提出することは「国家の重大な利益」に悪影響を及ぼすと解するか否か。

  右質問する。