質問主意書

第77回国会(常会)

質問主意書


質問第三号

建国記念の日政府行事実施に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十一年二月十日

源田 実   


       参議院議長 河野 謙三 殿


   建国記念の日政府行事実施に関する質問主意書

 二月十一日の建国記念の日が法制化されて以来、本年はその十周年を迎えるが、これについては周知のように、法制化の当時から国民の間に、当然政府主催の国家行事として記念奉祝の式典が挙行されるべきだとの要望がつよい。いやしくも「建国を記念する」という、国家の基本精神に関する国の祝日である以上、政府が率先してこの日を祝い、日本建国の精神を回顧すべきは、きわめて当然のことと思われる。
 しかるに、関係者の言によれば政府当局は、その年来の国民の要望に対してこれまで、「建国記念日はたしかに国が公定した祝日ではあるが、しかしこれについては国民の間に依然賛否両論が激しく、このような政治論争になつている祝日の政府行事は実施しがたい」といつて、実行を躊躇してきているということである。
 果して然りとすれば、政府の姿勢は甚だ姑息というほかはない。法制化に至る経緯をみても明らかなように、建国記念日反対の論をなす者は国民のごく一部にすぎない。その一部反対勢力の批判を怖れて建国精神を明らかにすることを逡巡するごとき姿勢では、到底、今日最も憂えられている国民思想の混乱を正すことはできないだろう。
 しかも政府は、本年から五月三日の憲法記念日に政府主催の行事をおこなうことを決定したと聞いている。憲法記念日について、建国記念日以上に激しい国論対立のあることは、政府当局自身が充分に承知のはずであり、それを承知の上で政府行事実施を決定したということは、とりもなおさず建国記念日の政府行事実施を躊躇してきた理由も消滅したことを意味する。日本国にとつて、憲法記念日以上に重要であり、かつ国民支持の大きい建国記念日を政府は堂々と国家行事によつて祝うべきだと確信されるが、それについて左記の諸点に御回答願いたい。

一、法制化の時点いらい、建国記念日の政府行事による奉祝を多数国民が要望しつづけてきているにも拘らず、政府がそれをこれまで実行しなかつた理由は何か。

二、政府は今後も建国記念日の政府行事実施の意思はないか。もし意思がないのならその理由を伺いたい。また意思があるのなら、何時からそれを実施するかを伺いたい。

  右質問する。