質問主意書

第76回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第二六号

内閣参質七六第二六号

  昭和五十年十二月十九日

内閣総理大臣 三木 武夫   


       参議院議長 河野 謙三 殿

参議院議員喜屋武眞榮君提出沖繩返還軍用地の地籍問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員喜屋武眞榮君提出沖繩返還軍用地の地籍問題に関する質問に対する答弁書

一、について

 復帰後、所有者に返還された土地に係る政府の措置については、昭和四十九年十二月十八日の貴質問主意書に対する答弁書において明らかにしたとおりであるが、当該土地の境界の確定については、防衛施設庁において原状回復補償の一環として、境界設定費を補償し、実際の境界確定作業は、関係土地所有者が当事者間の協議により進めることとなつている。
 防衛施設庁においては、この作業の促進に資するため、可能な限り、協力援助することとしており、既に、施設及び区域等の航空写真、現況測量図及び戦災前の航空写真等の関係資料を土地所有者の団体及び関係市町村に提供しているところである。
 境界設定費は、所有者又はその代理人に支払うこととしており、現在までの支払状況等は、次の表のとおりである。また、所有者に返還されている土地で、今後、境界設定費の支払を要するものは、ポロー・ポイント射撃場等十六施設に係る土地で当該土地の所在市村は、読谷村等十四市村、所要金額として約二億五、六〇〇万円を見込んでいる。

図 表

二、について

 沖繩境界不明土地問題対策連絡会議(以下「各省連絡会議」という。)は昭和四十八年四月に、境界不明土地対策現地連絡会議(以下「現地連絡会議」という。)は昭和四十九年六月に発足したが、その構成は次のとおりである。

1 各省連絡会議

 総理府(防衛施設庁、沖繩開発庁、国土庁)、法務省(民事局)

2 現地連絡会議

 那覇防衛施設局、沖繩総合事務局、那覇地方法務局、沖繩県

 これらの連絡会議は、沖繩における境界不明土地問題対策の検討を統一的に推進するため、関係行政機関の連絡調整の場として設置されたものであり、必要に応じて関係市町村長、関係地主の出席を求め意見等を聴取することとしている。
 境界不明土地に関する調査は、沖繩開発庁及び防衛施設庁において実施しているが、この調査の進ちよく状況に合わせ、これまで各省連絡会議、現地連絡会議を必要に応じ開催し、状況分析及び問題点の検討等を行い調査の円滑な実施を図つてきたところである。
 今後も、各省連絡会議においては基本的事項を、現地連絡会議においては現地における具体的事項を検討することとし、会議の運営については両連絡会議相互に緊密な連携をとりつつ問題解決のため十分その機能を活用するよう努めたい。

三、について

 一般に、所有者に返還された土地については、三か月を限度として借料当額の管理費を支払うこととしているが、沖繩の境界不明土地については、特殊な事情があることにかんがみ、境界確定のための関係土地所有者間の合意に要する期間として一年及びその合意成立後登記までに要する期間として一年を管理費補償期間とすることとしたものである。なお、右の合意に要する期間については、復帰前琉球政府によつてなされた地籍確定作業の事例等を勘案して一年としたものである。
 また、合意成立後、登記までに要する期間に係る補償費の額については借料相当額の十分の一とすることとしたが、これはその間の利用の制約の度合等を考慮したものである。

四、及び五、について

 返還された土地の境界確定を伴う区画整理事業、土地改良事業等に係る立法措置については、これらの事業の前提となる土地の境界確定が私権に係る問題であるので、極めて慎重な検討が必要であると考えている。
 なお、跡地の効率的利用のためのこれらの事業の実施については、県、市町村が行う場合には沖繩振興開発特別措置法又は予算措置により国庫補助率又は負担率のかさ上げがなされているところである。

六、について

 境界確定作業の結果については、所要の手続を経て登記されることとなる。これらの境界確定作業の結果については、国土調査法に基づく地籍調査の成果と同等のものとして取り扱うべく必要な指導をしてまいりたい。