質問主意書

第76回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第二一号

内閣参質七六第二一号

  昭和五十年十一月二十五日

内閣総理大臣 三木 武夫   


       参議院議長 河野 謙三 殿

参議院議員野末陳平君提出消費者物価指数に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員野末陳平君提出消費者物価指数に関する質問に対する答弁書

一、について

 現行の消費者物価指数は、消費者が購入する商品及びサービスの物価変動の測定を目的としており、そのためには消費者世帯全体を対象として作成するのが最も適している。
 しかし、物価変動の影響は、世帯の階層によつて異なることも考えられるので、昭和四十年以降参考系列として勤労者世帯を対象に、年間収入五分位階級別及び標準世帯(夫婦と子供二人からなる世帯で、世帯主のみが有業者の世帯)の年平均指数を作成し、これを消費者物価指数年報に掲載している。これまでの結果によると、標準世帯の指数と全世帯平均指数との差は極めてわずかであるが、最近、消費者物価指数に対する関心が高まつてきているので、より一層の理解を深めるために月次指数も参考系列に加えることを考慮している。

二、について

 現行の消費者物価指数の品目は、基準年における家計調査の結果から家計支出上重要度の高い商品やサービスを客観的に選定しているので、特に衣食住に偏つていることはない。
 指数が改正される際には新指数の品目は、新しい基準年の家計調査の結果に基づき選定されることとなる。
 また、物価指数においては交際費は、それによつて買つた品物の価格としてとらえられており、祝儀・香典等をサービスの価格として考えるのは適当ではないので指数には含まれない。

三、について

 家庭の月々の収入から何に幾ら支出されたかということは、家計調査の結果によつて明らかにされており、これに基づく生活費の指数は、物価指数とは別の概念であつて、消費者物価指数をそのような指数に切り替える考えはない。
 なお、参考までに、生計費指数という言葉は、歴史的には物価指数と同意義に使われてきたが生活費の指数などと混同されやすいので、戦後国際労働機構(ILO)では、国際労働統計家会議の決議により、消費者物価指数という名称に置き換えており、多くの国もこれに倣つているのが現状である。

四、及び五、について

 調査店舗を明らかにすることは、正確な価格調査を困難にするおそれがあるので公開することはできない。
 なお、各調査市町村別の平均価格等公表し得るものは、すべて報告書で公表している。
 また、小売物価統計調査に従事している調査員は、そのほとんどが家庭の主婦であり、一般消費者世帯にも指数作成に関して協力を得ているところである。