質問主意書

第76回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二一号

消費者物価指数に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十年十一月十日

野末 陳平   


       参議院議長 河野 謙三 殿


   消費者物価指数に関する質問主意書

 総理府が毎月発表する消費者物価指数について、生活実感との乖離を指摘する声が大であると思われるが、幸いに、今年は、現行消費者物価指数算出の基礎となる調査品目、ウェイト等の五年毎の改訂年にあたつている。以下に指摘し、政府の回答を求める各項目は、いずれも消費者の毎日の生活実感に根ざした提言であり、政府はこの要望をとりいれることにより、指数がより多くの消費者にとつて身近で日々の生活に役立つものとなるよう努めるべきである。前向きで誠意ある回答をのぞむ。

一、現行の指数は、各家庭の条件の違いをすべて平均化して算出している。とくに、子供の有無に拘らず平均化した指数の算出は、各家庭にとつて生活の参考とはならない。
 そこで提言だが、政府は従来の指数の他に、夫婦、子供二人のいわゆる標準家庭の支出に基いた指数を毎月発表すべきであると考えるがどうか。

二、現行調査品目は、その構成が衣食住にかたよりすぎている。現代人の生活は、ますます多様化し、文化的な支出のウェイトが高くなつていることは、同じ総理府発表の家計調査報告からも明らかである。品目の改訂、洗い直しにあたり、教育・交際・レジャー等の文化的品目をぜひ追加してもらいたい。例えば教育関係では、学習塾の月謝、スポーツクラブの会費等を品目に加えるべきであろうし、学校給食費も教育関係品目の中に独立して入れるべきである。また、交際関係では、冠婚葬祭に要する祝儀・香典等の品目も新たに設けるべきであると思うがどうか。

三、政府は、物価指数だからとの理由で、税金や社会保障費、保険のかけ金等については調査品目から外しているが、これでは消費者の生活の実態を正しく反映させた指数とはならない。そこで、政府は、家庭の月々の収入から何にいくら出ていつたかという生計費指数に切りかえるべきだと思う。世界的にもヨーロッパ各国では、生計費指数への切りかえを検討中であると聞く。わが国もこれにならうべきであると思うがどうか。

四、現在、調査員が実際に価格を調べる調査店舗が明らかにされていない。消費者は、どの店のどの商品がどの値段で調べられているのか知る術をもたない。せめて調査店舗は、その旨、明示すべきであると思うがどうか。

五、調査員の募集も一般消費者には無縁のところで行われている。調査員を公募し、一般消費者にも指数作成に参加する機会を与えるべきだと思うがどうか。

  右質問する。