質問主意書

第75回国会(常会)

答弁書


答弁書第八号

内閣参質七五第八号

  昭和五十年六月六日

内閣総理大臣 三木 武夫   


       参議院議長 河野 謙三 殿

参議院議員沢田政治君提出株式会社東京スピンドル製作所の労使紛争に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員沢田政治君提出株式会社東京スピンドル製作所の労使紛争に関する質問に対する答弁書

一、について

 株式会社東京スピンドル製作所(以下「会社」という。)の秋田工場においては、昭和四十五年十二月、東京スピンドル秋田工場労働組合が結成され、昭和四十八年十一月、同労働組合は、総評全国金属労働組合に加盟し、名称を総評全国金属労働組合秋田地方本部東京スピンドル支部(以下「支部」という。)に改めた。一方、昭和四十九年二月、支部に加入していない従業員が、新たに、東京スピンドル秋田工場従業員組合(以下「従組」という。)を結成した。この間、昭和四十八年十二月、年末一時金、慶弔見舞金等の支給に関する紛争があつたと聞いている。
 昭和五十年二月、会社は、業績の悪化を理由に十名の希望退職者を募集したが、応募者が一名であつたため、同年三月末日付けで支部組合員七名及び従組組合員二名の指名解雇を行い、うち従組組合員二名については、従組の要請に基づき希望退職扱いとした。また、会社は、同年四月一日から十五日までの間、被解雇者を除く支部組合員が会社の指示に従つた就労を行わなかつたこと等を理由に、これらの組合員の四月分賃金の一部をカットしたと聞いている。

二、について

 労働委員会に対する不当労働行為救済申立てについては、支部等から、本年四月には秋田県地方労働委員会に対して、五月には東京都地方労働委員会に対して、支部組合員の指名解雇問題及び支部組合員に対する賃金カット問題に関してそれぞれ不当労働行為救済申立てが行われ、現在、両事件とも関係地方労働委員会に係属中であると聞いている。
 労働基準監督署に対する申告については、支部役員から、本年五月、秋田労働基準監督署に対し、会社の秋田工場において労働基準法第三条及び第二十四条違反の事実があるとして申告が行われ、現在、同労働基準監督署において調査中である。

三、について

 人権侵犯事件の申告については、支部役員から、本年五月、秋田地方法務局に対し申告が行われ、現在、同地方法務局において調査中である。

四、について

 本年四月八日、会社の秋田工場内において、支部役員二名が、同工場の保坂管理課長補佐に対し暴行、傷害を加えたとして、被害者から男鹿警察署に対し告訴が行われ、同警察署においては、再三にわたつて被疑者の出頭を求めたが、これに応じなかつたため、同月二十四日傷害罪容疑で逮捕状により逮捕し、同月二十五日秋田地方検察庁に送致したところである。同地方検察庁においては、同日、被疑者二名について秋田地方裁判所に対し勾留請求を行つたが、同地方裁判所は右請求を却下したため、翌二十六日、被疑者の身柄を釈放し、現在、在宅のまま捜査を行つている。
 政府としては、正当な組合活動に対して何ら介入するものではないが、暴力の行使に対して法の定めるところに従つて厳正な取締りを行うことは当然であると考えている。

五、について

 会社が労働関係法令等に違反する行為を行つた場合には、政府としては、関係行政機関において監督指導を実施する等所要の措置を講ずる所存である。

六、について

 政府としては、労使当事者の自主的解決への努力を期待しつつ、紛争の解決促進のために採り得る諸措置について更に検討を進めるとともに、労使の話合いを促進する等紛争の早期かつ円満な解決のために努力してまいりたい。