質問主意書

第75回国会(常会)

質問主意書


質問第七号

軍属として戦地に行つた人達の処遇に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十年三月十七日

塩出 啓典   


       参議院議長 河野 謙三 殿


   軍属として戦地に行つた人達の処遇に関する質問主意書

 本年は、太平洋戦争終結から三十周年を迎える。太平洋戦争でわが国の被つた物心両面にわたる被害の大きかつたことは、今更いうまでもない。
 これまで政府のとつてきた戦争犠牲者に対する援護の措置を評価するにやぶさかではないが、今なお何の恩典をも受けることができない戦争犠牲者が放置されていることを考える時、戦後はまだ終つていないのである。
 その一つは、強制的に軍属として戦地につれて行かれた人達のうち、文官以外の人でいわゆる恩給法の対象とならない人達である。
 これらの人達は、軍人と同じく砲弾の飛びかう危険な状況の中で、一生懸命仕事に従事しながら、戦後における国からの処遇においては全く見捨てられているのである。
 軍人恩給や、文官であつた軍属の恩給は不充分とはいえ年々増額されるなかで、これら旧軍属が放置されていることは、あまりにも不公平といわなければならない。
 政府は、このような不公平のあることを知りながら、今日までその実態の調査すら行つていないことに対し強く反省を求めるものである。
 以下次の諸点について質問する。

一、軍属として戦地に行つた人達は、何人位いたのか。

二、これらの軍属のうち、恩給法の対象とならない人達は、何人位になるのか。

三、これらの人達は、戦地において軍人同様、場合によつては軍人以上の危険な仕事に従事していたが、これらの実態について政府はどの程度調査をしているのか。

四、これら旧軍属の人達に対する救済について、政府はどう考えているのか。

五、直ちに調査委員会のようなものをつくり、実態の調査を開始してゆく考えはないか。