質問主意書

第75回国会(常会)

質問主意書


質問第六号

鉄道騒音等に対する障害防止対策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十年二月二十四日

塩出 啓典   


       参議院議長 河野 謙三 殿


   鉄道騒音等に対する障害防止対策に関する質問主意書

 三月十日山陽新幹線博多開通を目前にして、新幹線の鉄道騒音等に対する障害防止対策の推進が強く要望されている。
 さて広島市竜王町八-一にある学校法人広島朝鮮学園「広島朝鮮第一初級学校」は山陽新幹線よりわずか二十二米の距離となり、教育環境の破壊は著しいものがあると考えられる。
 学校当局としては、今日まで国鉄その他関係当局に対し「路線変更」あるいはそれが不可能ならば「学校移転」を要請し続けてきたが、国鉄当局としては、二重窓、防音壁等の防音工事による障害防止対策のみに限定し、移転については応じようとしていない。
 これらの点に関連して、次の通り質問をする。

一、生活環境も大切であるが、教育環境もそれ以上に重要である。したがつて学校等に対する障害防止対策は、適当な場所があれば、むしろ移転することが望ましく、適当な移転場所のない場合、次善の策として防音工事を行うべきであると思うが、政府の考えをききたい。

二、昭和四十九年五月二十八日国鉄発表の「既設新幹線鉄道騒音に対する障害防止対策の実施について」によれば、住居・アパート等に対する障害防止対策については「この障害防止対策は家屋防音工事の施行を原則とし、家屋の移転、跡地の買取り請求があればこれに応ずることとする」と明記されている。ところが学校・病院等の特に静穏の保持を要する施設については、防音工事の施行のみで、移転、跡地の買取り請求に応ずることは書かれていない。
 昭和四十七年十二月二十日環境庁長官より運輸大臣に提出された「環境保全上緊急を要する新幹線鉄道騒音対策について」の内容から考えてみても、学校・病院の場合も、住居・アパートの場合と同様に、移転、跡地の買取り請求に応ずるようにすべきであると思うが政府の考えをききたい。

三、在来線の騒音等の環境破壊については、その程度が新幹線より著しくひどい場合でも、何等の救済処置もない。在来線についても速やかに対策を立てるべきである。政府の今後の方針をききたい。

四、在来線のすぐそばを新幹線が通るようになつたため、在来線の鉄道騒音が新幹線の高架橋に反射していままで以上にひどくなつているところがある。また新幹線建設にともない在来線を高架にしたため、在来線の騒音がいままで以上にひどくなつているところがある。
 少なくともこれら新幹線の建設に起因する在来線の環境破壊の増大に対しては、新幹線の場合と同様の対策を直ちに立てるべきである。政府の考えをききたい。