質問主意書

第74回国会(臨時会)

質問主意書


質問第四号

皇室の尊厳維持に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和四十九年十二月十六日

源田 実   


       参議院議長 河野 謙三 殿


   皇室の尊厳維持に関する質問主意書

 最近の皇室侮辱文書の横行は、まことに目にあまるものがある。それが国民思想に及ぼす影響多大であることはいうまでもないが、同時にそれは、憲法第一条に定める「国および国民統合の象徴」たる天皇を公然と否定し、刑法上の罪を犯すものであり、法秩序の維持の問題としても、到底黙視し得ない。
 而して、それらの文書、言論は当然、刑法二三〇条ないし二三一条の罪に該当するものと確信されるところから、かねて多数の国民からその唯一の告訴権者たる内閣総理大臣に対して、告訴の要求がなされているが、これに対して政府当局は、その犯罪的文書の存在することをみとめながら、それを告訴することが、政策的立場から考えて適切か否かは諸般の様相を検討する必要があるとして、その後、結論を保留している由である。
 就いては、左の点につき政府の見解を承りたい。

一、「国および国民統合の象徴」たる天皇以下、主たる皇族に対する名誉毀損、侮辱の犯罪行為に関しては、内閣総理大臣が唯一の告訴権者とされている。もしも、内閣総理大臣がその告訴権を行使しないときは、その犯罪行為は全く放置される結果となり、それは刑法の定める法秩序を無視する風潮をひろめる。
 内閣総理大臣は、これらの皇室侮辱文書に対しては、当然告訴すべきものであると解せられるが、告訴の意思があるのか。

二、もしも告訴しないとすれば、他のどのような処置によりこの問題を解決するつもりか。その具体的方策について質したい。