質問主意書

第72回国会(常会)

答弁書


答弁書第一五号

内閣参質七二第一五号

  昭和四十九年五月二十八日

内閣総理大臣 田中 角榮   


       参議院議長 河野 謙三 殿

参議院議員野末和彦君提出民俗芸術「浮世絵」保存、「浮世絵美術館」建設に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員野末和彦君提出民俗芸術「浮世絵」保存、「浮世絵美術館」建設に関する質問に対する答弁書

一、について

 現在我が国の国・公・私立施設における浮世絵の所蔵の状況は、東京国立博物館、神奈川県立博物館のほか、財団法人平木浮世絵財団(リッカー美術館)、熱海美術館等にまとまつて保存されており、そのうち、代表的な作品十三件、六十三点については、既に重要文化財に指定されている。
 東京国立博物館では、所蔵品のうち、主なものを収録した図版目録(浮世絵版画篇)三巻を刊行しているほか、浮世絵を含む全所蔵品の総合目録を刊行している。
 また、海外にあるものとしては、アメリカのボストン美術館、シカゴ美術館、イギリスの大英博物館等にまとまつて保管されている。
 これら国内外の浮世絵の状況の調査研究については、新たに調査機関あるいは研究所を設立せず、既存の国立博物館絵画室等を中心として、一層の促進、充実を図つていきたい。

二、について

 現在浮世絵の展示については、東京国立博物館において、絵巻物、水墨画等と同様に、日本美術の一分野とし、これを美術史全体の流れの中で位置付けるため、一室を浮世絵専用に充てており、毎月二、三十点ずつを展示するほか、年に数回特定のテーマ陳列も行つている。
 また、民間では、浮世絵の専門美術館として、東京に、リッカー美術館があり、浮世絵の常設展示を行つている。
 今後、浮世絵の展示については、既存の国立博物館の展示を一層充実するほか、公・私立博物館、美術館等においても、展示の促進を図る方向で措置したい。