第72回国会(常会)
質問第五号
家族計画の指導方法の改善と経口避妊薬の承認に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。 昭和四十九年一月二十八日 須原 昭二
家族計画の指導方法の改善と経口避妊薬の承認に関する質問主意書 本年は、国連が決めた“世界人口年”であつて、八月に予定されている第三回の世界人口会議では、“一人あたり資源需要の著しく高い先進諸国においては可能な限り早期に人口増加率ゼロを達成する”といつた政策勧告が議題になるといわれている。
(1) 長期連続服用の場合にはより少い成分含量でよいにかかわらず、短期間の治療剤としての成分を含む製剤を服用せざるを得ないことになつている。
などの諸点から、服用者の体に不当な負担がかけられている。
一 避妊の失敗から生じている多くの好ましからざる人工妊娠中絶を防ぐために、また、日本人の体格体質に適合する製剤の研究開発を促進するために、世界の動向に応じて、我が国においても、経口避妊薬を正式に承認すべきであると考えるがどうか。 二 女性ホルモン製剤が避妊の目的に使用されることを正式に承認しない理由として、“各種の障害を生ずる可能性”があげられている。同製剤が欧米諸国において、経口避妊薬として発売が認められてから十七年を経過し、現にその服用者は五、〇〇〇万人にのぼるといわれている。しかも危惧された血栓症のおそれについては、国際家族計画連盟中央医学委員会がこれを否定し、またがん発生のおそれについては英国医薬品安全委員会がこれを否定している。
三 昭和四十八年十二月十一日付の答弁書において、“薬事法により承認されている効能効果以外の効能効果に着目して、医薬品が使用されることは法の禁じているところではない”とあるが、そういうことであるなら、医薬品の製造業者は、申請する場合には、もつとも承認されやすい効能効果を掲げて製造承認を受けておき、その後に実際の使用目的を他の分野にひろげていくことが許されることとなつて、薬事法が効能効果を薬品ごとに限定する意味はなくなつてしまうのではないか。薬事法の製造承認と医薬品についての効能効果との関係を明確にされたい。 四 同答弁書において、“女性ホルモン製剤を薬局から購入することが可能となるよう、医薬分業の本旨にかんがみて、今後とも指導する”と述べられているが、そのことは、現に発売されている女性ホルモン製剤についても、医師が避妊目的に使用する旨の指示をすれば、その“指示”によつて、薬局から購入できるようにするという趣旨を含むものと理解する。しかるところ、その“指示”に関しては、薬事法に定められているのみで、医師法にその交付義務を課する規定がないから、現実には“指示”がほとんど出されることなく、当該薬剤が医師の専売下におかれている状況である。
右質問する。 |