質問主意書

第72回国会(常会)

質問主意書


質問第三号

国民年金における老齢年金及び障害年金の改善措置に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和四十八年十二月七日

小平 芳平   


       参議院議長 河野 謙三 殿


   国民年金における老齢年金及び障害年金の改善措置に関する質問主意書

 国民年金制度が発足した昭和三十六年四月一日からは、国民は一人残らず、年金の支給が受けられる制度的保証が与えられたことになつているはずである。ところが、地域、職域の別によつて加入すべき年金制度を異にしているために、国民の理解を困難にしているせいか、年金を受けられるものと誤信して保険料を納めつづけ、あとになつて、受給権のないことを知らされて、あわて且つ困つている例が現実に発生している。その例として、次のような場合がある。

一、老齢年金の場合

(1) 昭和三十六年四月一日以降に、厚生年金から脱退手当金を受けた後、国民年金に加入した者については、厚生年金の加入期間は通算されないこととされている。
(2) また保険料納付期間の短縮措置の適用は、昭和三十六年四月一日当時三十一歳以上であつた者に限られているから、それ以外の者が、国民年金の老齢年金を受けるには二十五年の保険料納付期間を必要とすることになる。
(3) そのため、厚生年金から国民年金に移つた者のうち、国民年金において二十五年の保険料納付期間を満たし得ない年齢の者は、国民年金に加入後、保険料を納めても、老齢年金の受給権は発生せず、老齢年金に関するかぎりは、保険料の掛け捨てになる。
(4) そのような人には、任意脱退の道があるとされているが、それでは、折角、保険料を納められるというに老齢年金を受ける道が全く閉ざされることになつて酷である。
(5) また厚生年金を脱退する際に脱退手当金を受けたのがいけないのだといつても、零細企業では、療養のために働けないまま居坐わることも気がひけるだろうし、療養中の出費をまかなうのに、まとまつた金を必要とする場合があることもあろうからあながち本人だけを責めることもできない事情もある。そこで、このような人には(イ)期間計算についてだけ、厚生年金の加入期間をみてやる措置を講ずる。(ロ)不足期間の保険料を後納して受給権を得させる措置を講ずる等の道をひらいて、本人の選択に委ねさせることを考えてやるべきではないか。

二、障害年金の場合

 昭和三十六年四月一日以降は、国民年金加入前の障害については国民年金における障害年金の支給対象にならないとされている。
 そこで

(1) 病気になつて企業を辞めるときは、その病気が後に、障害固定にまで進展すると予測できなかつたために、厚生年金から脱退手当金を受けた場合には、厚生年金における障害年金の受給権を喪失してしまうことになり、また国民年金における障害年金を受ける道もないことになる。
 また、
(2) 厚生年金を脱退して、国民年金に加入しても、加入後一年の保険料納付期間を満たさない間に障害が発生した場合には、厚生年金からはもとより、国民年金からも障害年金を受けることができない者が生じる。

 かかる障害者を救済するために、その障害が加入前のものであつても、他の制度から障害年金を受けられない者については、国民年金における障害年金の受給に必要な保険料納付期間を満たしたときには、すべて面倒をみる制度に改める必要があると考えるがどうか。

  右質問する。