質問主意書

第71回国会(特別会)

答弁書


答弁書第一四号

内閣参質七一第一四号
  昭和四十八年八月十七日

内閣総理大臣 田中 角榮      


       参議院議長 河野 謙三 殿

参議院議員峯山昭範君提出小規模企業に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員峯山昭範君提出小規模企業に関する質問に対する答弁書

一、について

1 融資の開始の正確な時期については、まだ決定するに至つていないが、極力早急に実施すべく準備を進めているところであり、当面十月初めを目標としている。
2 融資条件は次の通りである。
(1) 貸付金利 年七・〇%
(2) 貸付限度 一企業一〇〇万円(ただし運転資金については五〇万円)
(3) 貸付期間 二年以内
(4) 担保、保証人 無担保、無保証人
3 貸付金利七・〇%は、中小企業金融の中にあつて、公害、安全、災害等に対する貸し付け及びドル・シヨツク融資等の一時的な貸し付けに対する金利を除いては、極めて優遇された金利であり、これを引き下げることは考えていない。
4及び5 本制度は、小規模企業経営改善普及事業における経営指導を金融面から補完するという性格のものであり、小口資金を融資するものであるので、貸出限度額については一〇〇万円以内(運転資金は五〇万円以内)、貸付期間は二年以内で実施することとしている。
6 本年度の事業規模三〇〇億円は、本制度が本年度からの措置であるので本融資制度実施のための体制整備を必要とすること等をふまえて決められたものであり、来年度以降については、実施状況をみながら、事業規模を検討して行きたい。

二、について

1 経営指導員については、小規模事業者に対する経営改善普及事業の重要性にかんがみ、毎年その増員に努めているところであり、特に四十八年度においては三〇五人と大幅な増員を行つた。今後とも本事業の充実に努めてまいりたい。
2 経営指導員の待遇改善と身分保障の確立は、優秀な人材を確保する上でも極めて重要なことであり、このためには商工会、商工会議所の財政基盤の強化がなによりも重要なことである。四十八年度においても経営指導員の待遇改善の中心である給与水準を二〇・一%大幅に引き上げたところであるが、今後とも十分配慮してまいりたい。
3 中小企業診断士の制度は、「中小企業指導法」に基づく通商産業省令で定める資格を有すると通商産業大臣が認定した者を中小企業診断士として通商産業大臣が登録する制度として現在行われているところであり、とくに、この制度を変えることは考えていない。
4 経営指導員の資質の向上を図るためには、その研修制度を充実することが必要である。このため現在、中小企業振興事業団は、経営改善普及事業に対する協力として、中小企業振興事業団法第二十条第一項第四号の規定に基づいて、中小企業指導担当者の研修事業を実施しており、今後ともその運用に万全を期したいと考えている。

三、について

1 白色事業専従者控除については、本年度の税制改正において一七万円から二〇万円に引き上げたところであるが、今後においても所得税減税の一環として、引き続き配慮してまいりたい。
2及び3 現在、資本金一億円以下の法人に対する税率は、年三〇〇万円までの所得については二十八%(配当分二十二%)となつている。これは、資本金一億円超の法人に対する税率三十六・七五%(配当分二十六%)に比し、相当大幅な軽減であり、一般的に法人税率の引き上げが検討されている現段階において、小規模法人について、さらに特別の軽減措置を講ずることは適当ではないと考えている。
4 個人の事業税の事業主控除額については、個人の事業者の税負担の軽減合理化を図るため、従来からその引き上げ措置が講ぜられてきており昭和四十八年度においても二〇万円引き上げ、八〇万円とされたところであるが、今後とも個人事業税の負担状況等を考慮しながら引き続き事業主控除額の引き上げについて検討してまいりたい。
 また、白色申告者の事業専従者控除を引き上げることについては、昭和四十八年度所得税における白色申告者の事業専従者控除の引き上げ等の事情を考慮し、その引き上げについて検討してまいりたいと考えている。