質問主意書

第71回国会(特別会)

答弁書


答弁書第四号

内閣参質七一第四号
  昭和四十八年二月十六日

内閣総理大臣 田中 角榮      


       参議院議長 河野 謙三 殿

参議院議員田渕哲也君提出国内非鉄金属資源の確保等の鉱業政策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員田渕哲也君提出国内非鉄金属資源の確保等の鉱業政策に関する質問に対する答弁書

一について

1 国内鉱山は、最も安定した資源の供給源であり、高品位の優良鉱山を計画的かつ組織的に開発していく必要がある。
 このため、政府は、昭和四十一年度から鉱業審議会で策定された全国二十七地域からなる第一期国内探鉱長期計画に基づき、いわゆる三段階方式(広域調査―精密調査―企業探鉱)による探鉱の促進を図りその成果を上げてきたが、昭和四十八年度からは、新たに同審議会で策定された全国二十地域からなる第二期国内探鉱長期計画を加え、積極的に探鉱の促進を図つていくとともに、その内容についても拡充するよう努力してまいりたい。

2・3 企業の経営は、基本的には企業の創意に基づき自主的な責任のもとに、企業が最も合理的と判断する形態で行なわれることが望ましく、非鉄金属鉱業においても、従業員、地域社会に対する企業としての責任のもとにその経営を行なつている。
 しかしながら、特に閉山の問題については、従業員、地域社会に与える影響が大きいため、政府としても従来から十分な対策を講ずるよう企業を指導してきたところであり、今後ともできるだけ実態の把握に努め適切な指導を行なつてまいる所存である。

4 鉱山労働者の老後生活の安定と福祉の向上をはかる年金制度としては、現在、厚生年金保険法によつて年金給付が行なわれているところである。
 政府としては、昭和四十八年度において厚生年金の年金額の大幅引上げとスライド制の導入を柱とする年金改正を実施することとしており、これにより年金加入者の老後保障の充実強化を図りたいと考えている。

二について

1・2 国内需要の増加に伴い、臨海大型製錬所の設置が相次いで行なわれてきたが、その際、重複投資の防止、スケールメリットの活用、公害対策の強化、国内鉱石の交錯輸送排除による輸送の合理化等を図るため、政府は必要に応じ民間による共同製錬所方式を導入するよう指導してきたところであり、今後ともこの方針をもつてのぞむ所存である。
 また、鉱石の国鉄輸送については、運賃引上げによる負担増の影響を緩和する措置について、関係省庁間において連絡をとりつつ検討してまいりたい。

3 現地製錬および中間地製錬については、本来企業の経営上の判断によりその実現が図られるものであるが、具体化にあたつては資源保有国等におけるインフラストラクチャーの整備等の種々の解決すべき問題がある。
 しかし、政府としては、現地製錬および中間地製錬は資源保有国等の経済発展に寄与するところが大きく、国際協力の面からも望ましいと考えられるので、今後その実現の動きがあれば適切な指導と支援を行なつてまいりたいと考えている。

三について

1 銅の価格は国際的に乱高下を繰り返し、資源保有国のみならず消費国に対しても大きな影響を与えてきた。
 一方、鉛、亜鉛については、国際鉛亜鉛研究会において国際的規模で需給に関する情報の交換が図られ、国際間の需給および価格の安定に寄与していると考えられる。銅と鉛、亜鉛の事情は必ずしも同一ではないが、銅についてもこの種の国際協力の場を設けることは望ましいので、今後その可能性について関係諸国に打診することとし、できるだけ多くの生産国および消費国の賛同を得てまいりたい。

2 わが国としては、資源の安定的確保、資源保有国に対する経済協力の観点等から、今後とも海外鉱石の円滑な引取りを促進していく所存である。
 また、国際的な需給の不均衡対策としての緩衝在庫制度の創設の可能性については、先に述べた国際協力機構の設立の可能性も勘案しながら、今後検討を進めることといたしたい。