質問主意書

第71回国会(特別会)

質問主意書


質問第二三号

日本住血吸虫病予防のための溝渠設置に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和四十八年九月二十二日

鈴木 強      


       参議院議長 河野 謙三 殿



   日本住血吸虫病予防のための溝渠設置に関する質問主意書

 日本住血吸虫病は、中間宿主である宮入貝によつて媒介される人畜共通の寄生虫病である。
 わが国における有病地は、山梨、岡山、広島、福岡、佐賀の各県にわたつており、とくに山梨県においては、県下六四市町村中実に二一の市町村におよび、患者及び寄生虫卵保有者も、まだ相当の数にのぼつているものと推定されている。
 本病の予防は、有病地帯における宮入貝の撲滅によつて達成されるまでのものであるから、貝の棲息する溝をコンクリート化することにより、宮入貝の棲息に必要な泥土草をなくして棲息を不可能にすることが根本対策である。
 有病地域に対しては、昭和三十二年度以降十ケ年計画で予防対策をすすめ、昭和三十九年度には溝渠のコンクリート化計画の再検討を行ない、新たに昭和四十年度以降七ケ年計画により予防対策を推進し、さらに昭和四十三年度及び四十七年度にも従来の計画を拡大、実施事業も四十七年度以降二カ年延長して今日に至つている。
 しかしながら、日本住血吸虫病は、まだ絶滅したとはいいがたく、寄生虫卵の保有者も山梨県下では多数発見されており、宮入貝の生棲地もなお残つているので、これの撲滅のためには生棲地のコンクリート化が引き続き必要である。
 以上のような事情に鑑み、本病の予防対策に関し、左記事項について質問する。

一、昭和四十年以降今日にいたるまでの宮入貝撲滅のため溝渠新設の実施経過はどうであつたか明示されたい。

二、寄生虫病予防法は昭和四十七年四月に改正され、附則第三項において、政府は、昭和四十八年度の終わるまでの間に、日本住血吸虫の中間宿主である巻貝の生棲調査及びその結果に基づいて昭和四十九年度以降の溝渠新設の基本計画に関して、必要な法的措置を講ずることが義務づけられている。宮入貝の生棲防止のためには、山梨県下では、まだ一一三キロメートル、全国では二三二キロメートルの溝渠の新設が必要といわれている。よつて次の諸点について伺いたい。
1 宮入貝生棲地及び寄生虫卵保有者の調査結果
2 昭和四十九年度以降の基本計画の策定をさらに必要とする事態のもとにあるとするなら、新たな基本計画の規模及び必要な法的措置を講ずる政府の意思の有無について

  右質問する。