質問主意書

第71回国会(特別会)

質問主意書


質問第一四号

小規模企業に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和四十八年八月九日

峯山 昭範      


       参議院議長 河野 謙三 殿



   小規模企業に関する質問主意書

 わが国経済に重要な地位を占める中小企業のなかで、小・零細企業は、製造業、商業、サービス業を中心に全国の事業所の八一・二%と圧倒的な比重を占めているにもかかわらず、いぜんとして生産性や賃金の大幅な格差、無給家族従業者への高い依存、金融面の制約、多数の企業における経営態度の消極性、また環境の変化への適応が困難などの問題を有している。
 小規模企業の今後の発展には中小企業基本法に基づき、企業の実態にみあつた経営指導を充実していくとともに、金融面での施策を一層充実し、経営改善を進めて諸格差の是正を図つていく必要があると考える。
 よつて次の諸点について政府の見解を明らかにされたい。

一、小企業経営改善資金融資制度について

 経済環境の変化に対応し、経営改善を図る小企業に対し、低金利かつ無担保、無保証人の特別融資制度が本年度より創設される予定であるが、いまだに発足していない。
 小規模企業のおかれている現状を認識すれば、早急に発足すべきであると考える。
 よつて次の諸点について政府の回答を求める。
1 小企業経営改善資金の融資の開始日時について。
2 小企業経営改善資金の具体的な融資条件について。
3 現在予定されている金利「七・〇%」を「六・五%」に引き下げること。
4 現在予定されている貸出限度額「一〇〇万円以内(運転資金は五〇万円以内)」を「二〇〇万円以内(運転資金は一〇〇万円以内)」に引き上げること。
5 現在予定されている貸付期間「二年以内」を「三年以内」に延長すること。
6 事業規模「三〇〇億円」を大幅に増額すること。

二、経営改善普及事業について

 小規模企業に対し、その経営および技術の改善発達を図るため、商工会議所および商工会に設置されている経営指導員を通じて経営改善普及事業が実施されている。しかしながら、その経営指導員の数および待遇が悪く優秀な指導員が集まらないのが現状である。
 経営改善普及事業の効果的な浸透を図るため、指導員の増員、待遇改善、また商工会議所等の行なう経営改善普及事業に対する中小企業振興事業団の協力などによつて小規模企業に対する適正な指導を促進する必要があると考える。
 よつて次の諸点について政府の回答を求める。
1 経営指導員の大幅な増員について。
2 経営指導員の待遇改善(給与の大幅引き上げとともに、各種社会保険料の補助、退職手当引当金の補助)と身分保障を確立すること。
3 中小企業診断士の国家試験制度の創設について。
4 「中小企業振興事業団の経営改善普及事業に対する協力」を法文化すること。

三、小規模企業の減税について

 小規模企業の減税については、昭和四十八年度税制改正において、白色事業専従者控除の引き上げ個人事業主報酬制度の創設、また同族会社の留保所得加算課税制度の緩和を図るなどの措置がとられたが、まだ十分であるとはいえない。
 小規模企業の税負担の一層の軽減を図るため、次の諸点について政府の回答を求める。
1 白色申告者の事業専従者控除額を現行「二〇万円」から「四〇万円」に引き上げること。
2 現行の中小法人に対する軽減税率とは別に、資本の金額もしくは出資金額が五〇〇万円以下の小規模法人を対象にその法人の各事業年度の所得の金額のうち年二〇〇万円以下の金額については、百分の二〇の税率を適用すること。
3 中小法人についての法人税率の軽減税率の適用所得限度額を現行の「三〇〇万円」から「六〇〇万円」に引き上げること。
4 地方税における個人事業税の事業主控除額を大幅に引き上げるとともに、個人住民税について白色申告者の場合の事業専従者控除額を現行の「一七万円」から「四〇万円」に引き上げること。

  右質問する。