質問主意書

第71回国会(特別会)

質問主意書


質問第八号

工場排水の規制に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和四十八年七月十六日

峯山 昭範      


       参議院議長 河野 謙三 殿



   工場排水の規制に関する質問主意書

 一九七〇年に水質汚濁防止法が改正されて、都道府県知事によるいわゆる上乗せ排水基準の設定や排水基準違反に対する直罰規定の導入などによつて水質汚濁に関する規制が強化されたにもかかわらず、現状は水質の汚濁がかえつて進行している実情にある。
 例えば、本年の二月に公害等調整委員会がまとめた「公害苦情件数調査」によれば、水質汚濁についての国民の苦情は水質汚濁防止法が強化される前の一九六九年に比べて一九七一年には三〇%も激増しているという結果がでている。
 また水質汚濁(BOD負荷量)について発生源別の汚染負荷割合をみても、一九七〇年調査で工場、発電所など企業活動によるものが八一・一%と大部分を占めている。
 このような実情から判断して、工場排水についての規制を更に一段と強化する必要があると考える。よつて次の諸点について政府の見解を明らかにされたい。

一、工場排水規制措置について

 工場排水については、水質汚濁防止法で有害物質七項目、生活環境項目十二項目についてそれぞれ排水基準が定められているが、具体的にどのように排水規制が行なわれているのか、具体的かつ詳細に説明されたい。

二、未規制物質の規制について

 水質の汚濁は生活環境を悪化させるだけでなく、瀬戸内海の赤潮や琵琶湖、諏訪湖等の富栄養化をもたらし、漁業にまで被害を及ぼしているのが実情である。
 赤潮や富栄養化は、生活排水・工場等の排水中に含まれる窒素や燐が原因と思われるがこれらについて規制する考えはあるのか。
 もし、あるとすればその期日について、また、今後、どのような物質を規制しようとしているのか、その規制時期についても明らかにされたい。

三、水処理装置の設置状況について

 排水基準が設定され、水質汚濁に対する監視体制が整備されつつあるにもかかわらず、いぜんとして一部には排水基準を上回る工場排水の流出がみられるのが現状である。
 この原因を考えてみるに、例えば、水俣病の被害を一層大きくした原因は、チッソ株式会社が有機水銀除去装置として採用したサイクレーターが有効な装置でなかつたためであるといわれていることから、この際、この二の舞をふまないために工場が現在設置している水処理装置を総点検する必要があると考える。
 よつて、次の諸点について政府の回答を求める。
1 企業の水処理装置の設置状況及びその稼動状況
2 公共用水域に水を排出する企業が特定施設を設置しようとする際、水質汚濁防止法第五条であらかじめ特定施設から排出される汚水等の処理方法を都道府県知事に届出なければならないことになつているが、設置の許可にあたつて知事にどのような審査を行なわせているのか。また、具体的に都道府県に対してどのような行政指導を行なつているのか。

  右質問する。