質問主意書

第69回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第三号

内閣参質六九第三号
  昭和四十七年七月十八日

内閣総理大臣 田中 角榮      


       参議院議長 河野 謙三 殿

参議院議員中尾辰義君提出当面の諸問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員中尾辰義君提出当面の諸問題に関する質問に対する答弁書

一について

1 開発行政の強力な推進をはかるためには、新しい開発理念のもとに総合的な政策を効果的に実施するための開発関係諸制度の強化、改善が必要であると考えている。
 ご指摘の中央行政機構についても、臨時行政調査会の答申(昭和三十九年九月)等の趣旨を勘案し、また、各方面の意見も聞いて、十分検討していく所存であるが、現段階では、具体的な構想はできていない。
2 経済の発展に伴う住民の生活水準の上昇および交通、通信手段の発達による住民の生活圏の広域化に対応し、さらに住民の要請に応える新しい魅力ある豊かな地域社会を建設するためには、行政の広域化をすすめることが必要である旨各方面より指摘されているところである。このような地方制度の基本的構造にかかる改革の問題については、かねて、地方制度調査会においても大都市制度の問題を中心とし、都道府県の区域をこえる広域行政の問題をも含め調査審議を願つているところである。
 政府としては引き続き同調査会を中心として慎重に研究を重ねたうえで判断するのが適当であると考えており、府県制度の改革の問題もその一環として検討さるべき問題となつている。なお、このような地方制度の改革に当たつては、地方自治の本旨に則り、地方公共団体が責任をもつて住民の福祉の向上および地域社会の経営に当たりうるよう地方公共団体の権能の充実強化を図るべきことは当然であると考える。
3 国民福祉の充実を最大の課題として、本年度において策定を予定している新しい長期経済計画において、費用負担との関連をも考慮し、年金制度の改革を盛り込んだ社会保障の充実のための政策の方向を明らかにすることといたしたい。
4 行政需要の変化に即応した簡素にして能率的な行政を実現し、国民負担の軽減に資するため、政府においては、かねてから行政改革を重要施策の一つとして取り上げ、その推進に努めてきたところである。
 しかしながら、最近における社会経済情勢の著しい進展にかんがみ、これに迅速に対応し、行政の体制を整備することは肝要であり、また、国民の強く期待するところでもあるので、情勢の変化に即応しつつ、着実に行政改革を推進していく所存である。
なお、行政改革の実施推進の方法としていろいろの方法が指摘されているが、改革事項の性質等に即した適切な方策を講ずべきものと考える。
5 公務員に対して労働三権を与えるべきかどうか、というような問題については、現在公務員制度審議会において、公務員等の労働関係の基本に関する事項について慎重に審議が行なわれているので、政府としては、同審議会の結論をまつて検討してまいりたい。
6 「日本列島改造論」で触れた官民協調とは、政府や地方自治体のほかに民間の限りないエネルギーをくみとり、三者協調して国土改造の難問を解決しなければならないと指摘したものである。

二について

(一)1 日中間には、二千年にわたる長い交流の歴史がある。しかしながら、戦前・戦中の一時期、わが国が中国人に多大の迷惑をかけたことについては、謙虚にこれを反省すべきであると考える。
 日中両国はもはや二度と再び干戈を交えてはならない。政府としては、日中間に、よき隣人としての関係を樹立すべきであると考えており、国交正常化をはかるために、日中政府間の責任ある話し合いを開始することが当面の急務であると考える。
2、4、6 中華人民共和国が提示したいわゆる国交正常化に関する三原則については、基本的認識としては、政府としても、これを十分理解できるので、広く国民各層の意見も十分考慮しつつ、日中双方が合意し得るような具体案を検討してまいりたいと考えている。
3 政府としては、日中国交正常化は、わが国国民多数の希望するところであり、かつこれがアジアの緊張緩和に資するゆえんであるという観点から、政府の責任において日中国交正常化のための具体策を差異に進めてゆく考えである。
 5 政府としては日中国交正常化を実現するためには、政府間交渉が不可欠であると考えており、今後は、政府の責任において、国交正常化のための具体策を着実に進めてゆく考えである。
 7、8 一九五一年二月一日、第五回国連総会においていわゆる中共非難決議四九八(V)が採択されたが、昨年総会において中華人民共和国の国連参加が認められたことにより、実体的には中華人民共和国に関しては、本決議は意味を失つたものと考えられる。本決議が形式的にどう取扱われるかは今後国連の場で決定きれるべき問題であると考える。

(二)1 朝鮮における米軍は、一九五〇年六月二十五日及び同月二十七日の安保理決議(第八二号及び第八三号)の勧告(憲章第三九条の措置)に基づき派遣されたものである。
 朝鮮問題に関する国連総会決議において、国連軍派遣国政府は韓国政府の要請があつたとき、又は総会が定めた恒久的解決の条件が満たされたときにはいつでも朝鮮からその残存兵力を撤退させる用意があることが明らかにされている。政府としても朝鮮問題につき総会が定めた恒久的解決の条件が満たされ、在韓国連軍が撤退しうるような事態は望ましいと考える。
2 韓国は一九六七年~一九七一年の第二次経済開発五カ年計画期間中年平均十一・四パーセントという高度成長を達成し、一人当りGNPも一三一ドルから二五三ドルへとほぼ倍増し、昭和四十五年に開催された対韓協議グループ会議においても参加先進諸国から、他の開発途上国との比較においても著しい進歩を示しているとして高く評価された。しかしながら昨年来の米国の新経済政策、国際通貨調整等も重なり、国際収支、物価面等内外にわたつていくつかの課題が存することも事実のようであるが、これに対し韓国政府は、本年から始まる第三次経済開発五カ年計画では経済の「安定、均衡、自立化」を基本目標とし、経済成長率を八・六パーセントに抑える一方、輸出の大幅増加、貯蓄の増強、総合物価対策の樹立等の施策を強力に推進しようとしているので、韓国経済の今後の見通しは、その潜在的な能力から見ても決して暗くないと思料される。
 従つて、わが国の対韓援助の今後の方針については、民生の安定と均衡のとれた国民経済の発展に貢献する分野に重きをおいた有効かつ適切な協力を実施したいと考える。具体的には、韓国側の正式要請をまつて個々の案件について計画の内容、計画の優先度、フィージビリティーの有無等を十分検討して決定して行く所存である。
3 北朝鮮については、国際情勢の推移を見守りつつ、南北会談等にみられる朝鮮半島における緊張緩和の進展ぶりに即応して、人道、文化、スポーツ、経済等の分野における交流を今後とも積み上げてゆく方針であるが、現在のところ国交を開くことは考えていない。

(三)1、5、6 歯舞群島及び色丹島は、一九五六年の日ソ共同宣言により日ソ平和条約締結の後にわが国に引き渡されることになつている。また、国後、択捉の両島については、わが国の固有の領土としてその返還を要求している。
 政府としては、これら諸島(歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島)の祖国復帰を国民各位の支持と要望を背景に実現したいと考えており、来るべき平和条約交渉においては、北方領土に関する前記のわが国の基本的立場を堅持する所存である。
 なお、千島列島については、サン・フランシスコ平和条約第二条(C)において、わが国が一切の権利、権原及び請求権を放棄する旨が規定されている。
2 わが国は、歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島がわが国の固有の領土であるとしてその返還を要求しているのであり、「プラウダ」が指摘しているような「アジアにおける戦後の国境を修正しようとする露骨な試み」とは性格を異にするものである。
3、4 日ソ平和条約交渉の具体的な進め方については、ソ側と協議の上決めたいと考えている。交渉開始に先立ち首相、外相等の訪ソが必要であるとの指摘については、御意見として承つておきたい。
7 質問の如き問題は、単なる理論上の仮定の問題であり、交渉開始前の現段階でかかる問題につき議論することは差し控えさしていただきたいが、いずれにしてもわが国としては、歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島がわが国固有の領土であるという立場をあくまでも貫きつつ来るべき日ソ平和条約交渉に臨む所存である。

(四)1、2 一九六九年の日米共同声明のいわゆる韓国条項は、韓国の安全が地理的近接性の故にわが国の安全と密接な関連があるとの考え方を示したにすぎないものである。なお、「共同声明」の性質上、あとになつて特定の条項を取消すとか修正するとかいう問題はそもそも起りえないものと考える。また、右共同声明第四項のいわゆる「台湾条項」は、当時の両国首脳の右地域の情勢に対する認識をのべたものであるが、その後情勢は大きな変化をとげており、当面、この地域をめぐる武力紛争が現実に発生する可能性は幸にしてほとんどなくなつたと考えられる。したがつてかかる背景に照らし、右の認識が変化したというのが政府の見解である。

(五)1 事前協議制度とは、交換公文列記の三項目(すなわち、配置における重要な変更、装備における重要な変更及びわが国から行なわれる戦闘作戦行動のための基地としての施設・区域の使用)のいずれかに該当する行動を米軍がとろうとする場合にわが国とあらかじめ協議することを米国に義務づけたものであるから、かかる義務を負つている米国が、これらの行為を行なおうとすれば右の義務を履行するためにわが国に協議してくるべき性質のものである。
2 戦闘作戦行動のための施設・区域の使用についての事前協議については、具体的事案に即して、わが国益の確保、すなわち、日本の安全を確保するという見地から自主的に判断すべき性質のものであり、質問のような一般的な形でこれを論ずることはできない。
3、4 事前協議の主題となる「日本国から行なわれる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設・区域の使用」にいう「戦闘作戦行動」とは、直接戦闘に従事することを目的とした軍事行動を指すものであり、したがつて、名目のいかんを問わず、米軍がわが国の施設・区域から発進する際の任務・態様がかかる行動のための施設・区域の使用に該当する場合には、事前協議の主題とされるのであつて、米側の恣意によつて運用されるということはない。
 なお、給油の問題に関して従来から政府が明らかにしているのは、(イ)他国の基地を戦闘作戦行動のため発進した米軍機がわが国の施設・区域に立ち寄つて給油を受けたのち発進する行為は、その発進が「日本国から行なわれる戦闘作戦行動のための基地としての施設・区域の使用」に該当するので事前協議の対象となること、回空中給油のため給油機がわが国の施設・区域から飛び立つ行為自体は、「日本国から行なわれる戦闘作戦行動のための基地としての施設・区域の使用」には該当しないから、事前協議の対象とはならない、というものであり、その間に何ら矛盾はない。

(六)1 基地総合調整本部は、防衛施設に関する総合的審議調整機関として設けたものであり、その業務は、次のとおりである。
イ 防衛庁長官の諮問に応じて防衛施設の取扱いに関する基本的事項を審議すること。
ロ 必要に応じて、防衛施設に関する個々の問題の処理につき審議し、調整すること。
 右のうちイの防衛庁長官の諮問については、早期に行なうべく、その細目を含めて現在検討中であるが、答申に要する期間は、ほぼ一年程度を予定している。
2 沖縄において、米軍に提供している施設及び区域並びに自衛隊施設として使用している民公有土地等の賃貸借契約については、六月十五日現在、土地等の所有者の約九十三パーセントの同意を得ている。
 また、「沖縄における公用地等の暫定使用に関する法律(昭和四十六年法律第百三十二号)」の適用については、同法第二条第二項に基づく防衛施設庁告示を、昭和四十七年四月二十七日に七十四件、五月十一日に十二件計八十六件行なつたところであるが、現在、同法第一条第二項に基づき引続き同意取付けに努めており、最終的に同法の適用を受ける所有者数、面積等を確定するには至つていない。
3 政府は、本年一月に行なわれたサン・クレメンテにおける日米首脳会談において本件を提起し、復帰後の沖縄における施設・区域の整理縮小の要を説いた次第であるが、政府としては、今後の沖縄県の開発計画の推進、民生安定の確保との関連をも踏まえ、かつ、日米安保条約の目的の達成との調整を図りつつ、米軍施設・区域の整理統合につき米側との話合いを進める考えである。
 かかる考えの下に、政府としては、逐次施設・区域の整理を実施してゆく所存であり、復帰時において施設・区域を提供するに当たつても、客年六月の施設・区域に関する了解覚書A表記載のものにつき、若干の削減を行なつた次第であるが、今後ともかかる努力を続ける考えである。
4 米軍に提供している施設及び区域の民公有土地等に係る賃貸借契約について、昭和四十七年七月二十七日、民法第六百四条に定める期限が到来する約二千三百件のうち、七月十三日現在、七月二十八日以降の賃貸借契約に同意したもの及び同意を得られる見込みのものは、その約九十九パーセントである。
 残余のものについても話し合いにより、円満に解決すべく引続き努力を重ねており、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法(昭和二十七年法律第百四十号)」は、極力適用しない方針である。
5 政府は、五月にB52が沖縄に飛来した際、気象上の理由に基づく緊急の事態であつたことに鑑みこれをやむをえないこととしつつも、米側に対して、ヴィエトナム爆撃の帰途沖縄に立ち寄ることが反復され、定型化されることのないよう求めたのに対し、先方はこれを了とする旨述べた次第であるが、今回の飛来も台風を避けるという緊急の場合であつて、米側としては、B52のわが国への飛来はこのようなやむをえない場合に厳に限る旨改めて確認しており、また、B52をわが国から戦闘作戦行動のために発進させることはしないことを確約している。
6 事前協議の主題とされている「合衆国軍隊の日本国への配置における重要な変更」にいう「配置」とは、そもそも米軍がわが国内の施設・区域を本拠として駐留する場合をいうものであるから、今回のような単なる一時的飛来は、飛来する機数を問わずこれに該当しない。
7 政府としては、事前協議制度自体に変更を加える考えはなく、あくまでもその運用面について、日米間でその理解の内容を改めて確認する考えであり、このための米側との話合いは、双方の都合から本年秋頃となる見込みである。

三について

1 昭和四十七年度予算においては、景気のすみやかな回復を図るため、当初から、公債政策の活用による公共投資の大幅増額など諸般の施策に十分配意しており、また、実行面においても公共事業等の事業施行を極力繰り上げ、景気回復に資する措置を講じているところである。
 最近の経済動向をみると景気は回復の過程に入つたとみられるところでもあるので、当面は、昭和四十七年度予算の円滑な実施に力を注ぐべきであると考えており、現在のところ、昭和四十七年度にさらに景気対策のため補正予算を組むべきであるとは考えていないが、なお今後の経済情勢の推移等をみて慎重に検討することといたしたい。
2 所得税減税が国民各層の強い要望であることは十分承知しているところである。
 ただ、所得税減税は、将来の高福祉実現のための財源のあり方という長期的な観点からも検討しなければならない問題であり、また、所得税減税を景気対策という短期的な観点から年内にも行なうかどうかという点については、景気が回復の過程に入つたとみられる折でもあるので、今後の経済情勢、財源事情等をみながら慎重に検討する必要があると考えている。
3 政府は対外均衡の回復を図るため、昨年六月にはいわゆる八項目の対外経済政策、本年五月にはいわゆる七項目の緊急対策を決定し、財政金融政策の機動的展開、経済協力の推進、関税の引下げ、輸出優遇措置の撤廃、輸入割当枠の拡大、資本輸出の促進などに努力してきた。最近においては政策効果もあつて景気は回復しつつあり、また輸出の伸びの鈍化、輸入の伸びの伸長の傾向が見られ、今後黒字幅は次第に縮小の傾向を辿ると思われるが、今後とも景気・貿易の動向などを注視しつつ、ひきづつきこれらの施策を機動的かつ強力に推進していく所存である。

四について

1イ 農業および農政の基本的役割は、国民に対する食料の安定的な供給を図るとともに農業従事者の所得と生活水準の向上を通じて、わが国経済社会の豊かな発展と国民福祉の増進に資することにある。
 いうまでもなく農業は、国民経済の重要な一部門であり、その健全な発展なくしては日本経済の調和ある発展はなく、健全な農村と農民を育てていくことは、わが国経済社会の土台を形成確保するうえで極めて重要なことである。
ロ 現在、わが国農業をめぐる内外の諸情勢は極めて厳しいものがあるが、このような状況に対処して、農業の健全な発展を図るためには、さらに一層農政の強力な推進に努める必要がある。
 このため、農業生産については、需要の増大する農産物を中心として、生産性の向上と価格の安定に努めつつ、農業生産の再編成を進めるとともに、流通、加工についても、その近代化、合理化を推進して、消費者価格の安定を図ることが必要である。
 また、経営規模の拡大、集団的生産組織の育成、土地基盤の整備等を強力に推進して農業構造の改善を図り、高能率・高生産の農業の展開を通じて、農業従事者の所得の確保増大を図るとともに、経済の国際化に対応する体質の強化を図ることが必要である。
 さらに、都市化の進む現代社会において、豊かな自然環境に恵まれた農村を健全に維持発展させていくことは極めて重要なことである。このような農業および農村の新しい役割にも着目しつつ、農村地域の整備開発と農村環境の整備を図り、豊かで近代的な農村の建設に努力してまいりたい。
2 政府は、米麦価を決定するについては、米価審議会に米麦価の決定に関する基本事項を諮問し、その答申を尊重して決定している。
 政府が、米価審議会に諮問するに際して、政府としての考え方をもつことは当然である。しかし、このことは、その考え方を押しつけるとか、それに固執するとかいうことではなく、米価審議会の自由な審議の結果を尊重して、適正に価格を決定することとしており、米価審議会を形式的なものとするというものではないと考えている。
3 四十七年産米の生産者米価については、食糧管理法の規定に従い、生産費および物価、需給事情などを考慮し、具体的には米価審議会の議を経て決定することとしているが、どのような水準に決めるかは、現在慎重に検討中である。

五について

1 地価公示については、昭和四十五年に第一回公示を行なつて以来、毎年対象地域および地点数の拡充を図つており、公示価格は、一般の土地取引の目安となつているほか、公共用地取得価格算定の規準とされている。
 今後は、引き続き対象地域および地点数の拡充をすすめ、早急に全国において公示を実施するほか、さらに、公示価格との関連において、課税評価額、公共用地取得価額等の公的土地評価の一体化を図るよう検討するとともに、土地高価譲渡所得税制の創設等についても検討を行ないたい。
2 収用または使用による土地等の取得価格につき、事業認定以前の基本計画の策定時の公示価格を基準とすることについては、基本計画の策定の法的根拠、事業実施時期の不確定性ならびにこれらとの関連における基本計画の策定段階における公益性判断の困難性等の諸点について慎重な検討が必要であると考える。
3 土地の値上りが生じた場合に、これを譲渡したときは、譲渡所得税が課されるが、公共投資による値上りに対して全額譲渡所得税を課することは、当該土地の値上り分のうちどれだけが公共投資に起因するか、また、公共投資による値上りの起算点が必ずしも明確でないこと等の理由により困難であると思われる。
 なお、一般的な土地の値上り益の社会公共への還元をさらに推進する方策については、今後とも検討してまいりたい。
4 最近の金融緩和を背景として法人が大規模な土地取得を行なつているといわれているので、現在、法人の土地取引の実態を把握するため、東京証券取引所第一部および第二部上場会社約千三百社を対象に土地保有状況および土地取得状況について調査中であり、近くその結果がまとまる見込みである。
 法人の土地取得のみを規制対象とすることは法制度上の難点があり、むしろ一定規模以上の土地取引に対して届出制をとらせる等の規制措置について検討したい。
 また、法人の投機的土地取引を抑制するため、税制上の有効な措置についても検討してまいりたい。

六について

1 東京瓦斯の料金改定の申請は、五月四日に行なわれたものであるが、申請を受理した後、すみやかに慎重なヒヤリングを行ないさらに特別監査を行なつて同社の経理内容の適確な把握に努めた。六月五日、六日には、公聴会を開催して広く意見を徴するとともに、物価安定政策会議特別部会(六月十六日、二十二日)を二度にわたつて開催して、慎重な御審議をいただいた後、政府部内において十分な審議調整を行ないこの結果を六月二十七日物価対策閣僚協議会の議に付し、承認を得て、六月二十八日認可した次第である。従つて政府部内において慎重な検討を行なつた決定であるので、御指摘のように実施を中止する考えはない。
2 電気ガス税は、電気やガスの消費と消費者の所得との間にみられる相関関係に着目し、支出面からその担税力を捕捉しようとするものであり、市町村税の中でも有力な税目となつており、地方財政の現況にかんがみ、これの取扱いについては、充分慎重に検討する必要がある。
3 電気ガス税については、昭和三十六年度以降免税点制度を設け、しかも逐年この額を引き上げることによつて、一般消費者の負担軽減に配慮する等所要の軽減措置を講じてきたところであり、今後とも地方財政の状況をも十分考慮しつつ、一般消費者の負担の軽減等について引き続き検討してゆく考えである。
4 営団地下鉄・四大市の市電・市バスの運賃改定に係る運輸大臣の認可は、運輸審議会の答申をまつて行なわれるものである。
 六月二十七日の物価対策閣僚協議会における結論は、物価安定対策に関する重要問題について協議するための閣僚協議会としての立場においてなされたものであり、同協議会の結論が通貨及び料金の設定・変更等について公平かつ合理的な決定をさせるための運輸大臣の諮問機関である運輸審議会の結論を拘束するものではない。
 政府としては、運輸審議会が慎重に審議したうえ出される答申を十分尊重して措置することといたしたい。
5 地下鉄等の運賃を改定する場合には、適正な会計基準に基づいて原価算定を行なつているので、設備投資資金を利用者から先取りすることとはなつていない。
 地下鉄については、従来から国・地方あわせて建設費の1/2を補助しているほか財政投融資等所要の助成措置を講じているところである。
6 今年に入つて一部公共料金の引上げが実施または決定されたが、四十五年秋以降の景気後退の影響による騰勢鈍化に加え、物価安定のための各般の政策努力によつて四十七年度見通し五・三パーセントを達成することは可能であると考えている。
7 現在大手私鉄より提出されている運賃改定申請事案の処理にあたつては、収支状況、合理化状況等について詳細に検討する必要があり、今後慎重に取り扱うこととしたい。
 公共料金については従来から極力抑制的に取り扱う方針をとつてきているが、今後とも公的サービスの円滑な供給の確保、企業の合理化努力等の推進に配慮しつつ、この方針を堅持して参る所存である。
8 政府売渡価格については、食糧管理法の規定に則り、家計費および物価その他の経済事情を参酌し、消費者の家計の安定を旨として決めることとなつているが、政府買入価格等との関連にも留意しつつ、今後そのあり方について慎重に検討していくこととしている。
9 今回の金利引下げによつて、預貯金金利が今年度の消費者物価上昇見通しを若干下回ることとなるが、今後国内金利が一段と低下すれば、景気の回復、社会福祉の充実が促進され、ひいては国民生活の安定・向上に資することになる。
 本年度の物価見通しは、景気の動向等を勘案し、また各般の政策努力を折り込んで実現可能な政策目標として設定したものであり、政府としては生鮮食料品の安定的供給の確保、輸入政策の積極的活用、流通機構の合理化等の各般の対策を積極的に推進し、極力物価の安定に努めることとしている。
10 生産性向上の成果は、価格引下げ、賃金引上げ、企業利潤への配分という形で消費者、労働者、企業の間に適正に配分されることが国民経済的観点からみて最も望ましい。
 そのためには輸入自由化、関税引下げ等の輸入政策の積極的活用、独占禁止法の厳正な運用、競争制限的制度の改廃等国の内外から競争条件を整備することが最も肝要である。
11 管理価格問題については、複雑化した現在の市場構造や企業行動の実態はあくがまず基本的に必要であり、関係機関において調査を進めているところである。
 政府としては、独占禁止法の厳正な適用等競争維持政策を通じ、寡占産業において不当な価格形成が行なわれることのないよう努めるとともに、寡占の実態調査に即しつつ、監視体制の整備等を含めて、管理価格対策のあり方を検討したい。
12 酒店については、酒類小売業の免許制について人口急増地域等における免許要件についての弾力規定を積極的に活用するとともに、卸小売の一本化を図つているところであり、薬局の配置規制についても、条例の特例条項を活用し、開設許可について弾力的運用を図つている次第である。
 また、米穀販売小売業者の登録については、四十五年八月人口急増地域における小売販売業者につき新規参入の促進を図つたほか、本年四月から米価について物価統制令の適用を廃止したのに伴い、大都市を中心として大幅に新規参入規制の緩和を行なつたところである。
13 理容業、美容業等の料金対策としては、環境衛生金融公庫の融資その他により企業の近代化合理化を進める一方、独占禁止法に違反するような料金協定については、公正取引委員会においてこれを厳しく規制するとともに、主務官庁においても所要の指導を行なつてまいりたい。
14 政府としては、円切上げ効果の消費者への還元を、当面の物価対策上の重要課題の一つと考えており、これまで主要な輸入物資につき、その価格動向につき、調査、公表を行なうとともに、関連業界等に対し、輸入価格の低下を、小売段階にまで、十分反映させるよう強く要請してきたところである。引き続き、去る三月三日の物価対策閣僚協議会においても、通貨調整に伴う、輸入品の価格低下を消費者段階に反映させるための措置について、申合せを行なつた。さらに、このような政府の措置の実効を確保するため、輸入品の国内価格について種々の追跡調査を行ない、その結果を公表してきている。
 これらの結果によれば、これまでに値下りをみているものもあるが、一方円切上げの効果が十分に反映されていないものもあり、今後とも、主要輸入物資の価格動向等につき、調査を継続するほか、国内流通機構の近代化、合理化に努めて参りたい。
15 輸入割当品目については、物価政策上の観点から、とくに生活関連物資を中心に毎年割当枠の拡大を図つてきているところであり、今後とも可能な限り、割当枠の拡大に努めて参りたい。
 なお、輸入商社の数が少数に限られているため競争が十分に行なわれていない等の事情にあるものについては、新規業者の参入を図る等個々の商品の実態に応じて割当方法の改善を行なつている。
16 輸入の自由化および関税率の引き下げは、割高な国産品が低廉な輸入品に代替されるという直接的な価格引き下げ効果を有するばかりでなく、国内関連産業に対する生産性向上への刺激、競争条件の整備等間接的な物価安定効果をも期待しうるものである。このため、政府としては、従来から輸入自由化および関税引き下げの効果が国内の流通段階等で漏損することのなきよう、関係各省庁を通じ価格動向等の追跡調査を実施し、これをその都度公表するほか、それに基づいて所要の行政指導を行なつているところである。
17 流通部門の近代化は、国産品、輸入品を問わず望まれているが、輸入品については、特に先の円切上げによる輸入品価格の低下が消費者物価に必ずしも適正に反映されなかつた面もあつたことにかんがみ、その流通経路の合理化が要請されている。
 流通部門は、多数の事業所が多段階に錯綜しているため、その近代化を進めるにあたつては、総合的な効率化を図るという観点が重要である。政府としてはこうした観点に配慮しつつ、小売商、卸売商の協業化、組織化を通ずる体質強化、輸送・集配送等流通各段階における物的流通の合理化等の諸施策を実施し、輸入品および国産品の流通機構の改善に努めている。
18 総代理店制は、輸入業者の継続的安定的な販売活動の維持を可能にするという長所もある。
 しかしながら、総代理店が独禁法に抵触するような契約や協定を行なつていれば問題があるので、十分調査し、必要があれば、所要の措置を講じていきたい。
 なお、商標権に基づく真正商品の税関による輸入差止問題については、弾力的に対処することとする。
19(1) 総合エネルギー調査会需給部会の報告(昭和四十五年七月二十四日)の上限値によると、昭和六十年度における電気事業用の需要電力量は四十五年度の二千七百億キロワットアワーに対して約四・一倍の一兆一千億キロワットアワーであり、これに対する最大電力は四十五年度の四千八百万キロワットに対して約四・二倍の二億五百万キロワットと想定している。
 この電力需要に対して安定した電力を供給するため必要な昭和六十年度末の発電設備能力は水力四千九百万キロワット、火力一億三千八百万キロワット、原子力六千万キロワット、合計約二億四千七百万キロワットである。
 この目標を達成するためには、四十七年度以降六十年度末までに、水力約三千百万キロワット、火力約一億三百万キロワット、原子力約四千七百万キロワット、合計約一億八千万キロワットの電源開発を行なう必要がある。
(2)イ 火力発電所については、従来から燃料の低硫黄化、高性能集じん器の設置等の対策を図つてきた。今後ともこの方針を強化していくとともに、特に低硫黄化については、いつそうの低硫黄原重油の使用に努める一方、排煙脱硫装置の実用化促進、原油生だき、LNGの導入等の各種手段を実情に応じて適切に組み合せ、公害対策を積極的に推進してまいりたい。
ロ 火力および原子力発電所の温排水対策としては、今後さらに冷却用の海水の深層からの取水、排水口の位置、方向、形態の調整等の対策を強化し、自然環境の保護につとめ、その影響の未然防止を図つてまいりたい。
(3) 電力の需給ひつ迫を解消するため、従来から電源開発の促進に加え、系統運用の強化により、効率的な供給体制の確立を図つてきたところであるが、さらに、直流送電、超電導送電等の技術開発、基幹送電線の建設等により、問題の早期解決を図つていく所存である。

七について

1 中央教育審議会の答申は、広く国民各層の意見を聴取して作成され、時代の要請に応じた教育の改革について、適切な示唆を与えているものであると考える。その具体的な施策の推進にあたつては、答申の趣旨をふまえ、教育関係者をはじめ、広く国民各方面の意見を聞き実効を得てまいりたい。
2 教育財政については、統計上の諸問題から、厳密な国際比較は、困難であるが、教育の充実はわが国における最も緊要な課題の一つであり、学校教育の拡充整備はもとより、家庭教育、社会教育を通ずる生涯教育の推進のため、財政面の配慮をじゆうぶんしてまいりたい。

八について

1(1) 光化学スモッグの発生機構および人の健康に及ぼす影響等については、未解明な分野が多く残されている。政府は昭和四十五年度より国の試験研究機関を中心に現象、健康等への影響等の解明、測定機器の開発等基礎的な研究を進めているところであり、本年度においても科学的究明のための総合的な調査を実施することとしている。
 なお、政府としては、昭和四十八年度に国立公害研究所を設置することとして、現在、鋭意その準備を進めているところであり、研究所の設立に伴い強力にこの問題の解明のための調査研究を推進することとしている。
(2) 光化学スモッグの人体影響は一過性のものと考えられており、その精細な所見が得られていないので、現在健康被害の実態を把握するとともに医学専門家に対し疾病の態様等に関して検討を願つている。
 なお、医療救急機関等については連絡協力体制の強化確立を図り光化学スモッグによる健康被害者の医療救急に万全を期してまいりたい。
2イ 現行の大気汚染防止法では、いおう酸化物については、ばい煙発生施設ごとの排出量を対象とするものであるが、この排出基準は環境基準を維持達成するため、地域総量規制の見地から地域内の全対象施設の排出総量が一定限度以下となるように設定している。 ばいじんや有害物質等に係る排出基準は全国一律の濃度による規制措置がとられているが、都道府県は、地域の実情に応じ条例でよりきびしい排出基準を定めることができることとしている。
ロ 現在の水質汚濁防止法による排水規制は、全国一律の基準による規制であるため、濃度による規制措置がとられているが、都道府県は必要に応じ、排水量を勘案して上乗せ排水基準を設定することができることとされている。
ハ しかし、長期的には、如何なる方法による規制が有効かつ合理的であるかについて検討することが重要であるので総量規制を含めた規制方式の可能性について鋭意検討してまいりたい。
3(1) 原子力発電所等で発生する放射性廃棄物のうち放射能レベルが極めて低いものについては法令の定める基準値以下にして放出されているが、それ以外のもので液体状のものは濃縮して固化し、また固体状のものは滅容して容器に入れ、それぞれ施設内に安全に保管されている。
 これら放射性固体廃棄物は今後、原子力開発利用の進展に伴い、その発生量も増大することが予測されるので、これに対処するため、各界の専門家の科学的検討を経てまとめられた放射性固体廃棄物の処理、処分方策に関する基本的考え方に従い、必要な研究開発、調査を行なつている。
(2) 原子炉の安全性については、その設計においてまず事故を起さないことを大前提とし、かつ、万が一事故が発生してもその影響を最小限に食いとめて周辺の一般公衆に被害を与えないことを基本としている。
 具体的には、機器や部品の故障時または運転員の誤操作時には安全装置が自動的に作動あるいは、原子炉の安全停止ができるよう設計されている。
 さらに実際上あり得ないような事故を想定して原子炉格納容器、非常用炉心冷却設備等の安全防護施設が設けられており、周辺の一般公衆に放射線障害を与えるような放射性物質の流出は避けられることになつている。
 国は、原子炉の設置にあたつて以上の点を確認してから設置の許可を行なつており、さらに、許可後も工事計画の認可、各種検査、保安規定の認可等を通じて厳正な監督を行なつているところであり、安全確保上万全であると考えている。
4 新全国総合開発計画においては、国土利用の再編成等を通じ、豊かな環境の創造を基本的目標として掲げているものの、最近における環境問題の深刻化にかんがみ、環境問題への対応をより明確化するため、公害対策および環境汚染の防止を含め、この計画の総点検を行なう所存である。

九について

1 昭和四十七年七月豪雨による災害は、ほぼ全国の区域にわたりとくに山(がけ)くずれ等により多数の人身被害が発生したことが特徴であり、死者・行方不明の数は四百人をこえている。
 昭和四十七年七月豪雨による災害に対しては、政府としては、七月八日、災害対策基本法第二十四条の規定に基づき、総理府に、総理府総務長官を長とする昭和四十七年七月豪雨非常災害対策本部を設置し、関係省庁、地方公共団体および公共機関の実施する災害応急対策の総合調整にあたらせているところである。
 当面の対策について、大要、次のような方針を決定し、関係省庁に指示した。
イ 関係省庁において早急に被災現地を調査し、被害の実情に即した対策を実施すること。
ロ 災害復旧事業の査定を急ぎ、すみやかに事業に着手することができるよう措置すること。
ハ 農業共済に係る共済金の支払い(仮払いを含む。)を早期に行ないうるよう措置すること。
ニ 激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律、天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法等の適用の検討を急ぐこと。
ホ 危険地域の総点検を急ぐとともに、住民に対する避難の指示について適切な措置を講ずること。
ヘ 当面の被災者の救出にあたる消防、警察、自衛隊等の活動について、相互の連絡を密にし、被災者の救出に遺憾なきを期すること。
 なお、政府としては、死者、行方不明が多数におよんだ今回の災害の実情にかんがみ、災害弔慰金補助制度を創設し、今回の災害から適用することとした。
2 最近、山津波、がけ崩れによる災害が各地に発生して、多数の人命が失なわれている実情にかんがみ、土石流発生危険渓流、地すべり危険区域および急傾斜地の崩壊による災害危険箇所の総点検を都道府県知事に指示したところであるが、この結果に基づき防災知識の普及および地域防災計画の一環として警戒避難体制の強化を図り、災害の防止に万全を期してまいりたい。
 また、丘陵地等の宅地造成に伴い災害が生ずるおそれの著しい地域については、宅地造成等規制法および都市計画法により災害防止のため必要な施設を適切に整備するよう義務づけているが、今後ともこの規制の適切な運用を図ること等により、宅地災害の防止に努めてまいりたい。
 さらに、山林についても、これまでその災害防止機能にも十分留意し、森林の適正な保続培養を図るため、造林の積極的推進、計画的な森林施業の確保等に努めてきており、また、山地の崩壊地および崩壊危険地については、治山事業五カ年計画に基づき、復旧治山事業および予防治山事業を実施し、国土の保全と災害の防止に努めているところである。これらの施策については、今後さらに強化することとしているが、今回の全国的な災害の発生にかんがみ、さらに人命財産に直接被害を及ぼす崩壊地および崩壊の危険地ならびに地すべり危険地について総点検を実施し、今後の災害の未然防止に万全を期してまいりたい。
 また、畑地、草地、樹園地等の農用地開発事業の実施に当たつても、かねてから防災の面に十分配慮して実施しているところであるが、今回の七月豪雨による被害状況を調査の与え、なお一層防災に万全を期して実施してまいる所存である。
3 急傾斜地崩壊危険箇所は、昭和四十四年の建設省の調査によると全国で約一万三千箇所あるが、これら危険箇所に対しては、都道府県において緊要なものから順次急傾斜地崩壊危険区域として指定することとして、現在約二千二百箇所を指定しており、これら区域に対して有害行為の規制、土地の所有者および被害を受けるおそれのある者に対する防災工事の勧告ならびに改善命令等を行なうとともに、住宅移転に対する助成および崩壊防止工事を実施しているととろである。
 今回の災害の実情にかんがみ、緊急に対策を必要とする箇所については、緊急急傾斜地崩壊対策事業等により早急に措置するとともに、今後さらに対策事業の大幅な拡大を図つてまいりたい。
 なお、これら危険箇所については、市町村地域防災計画に組み入れ、人命保護の立場から警戒避難体制の整備を図つている。
4 今回の災害は、がけ崩れ、土石流等による被害の実情にかんがみ、これら危険地の総点検を早急に実施するよう都道府県知事に指示したところであるが、なお、この結果を地域住民に周知徹底させるとともに、防災知識の普及および地域防災計画の一環として警戒避難体制の強化を図り、災害の防止に万全を期してまいりたい。
5 河川およびダム施設については、毎年出水期前に点検を行なつているが、今回の出水にかんがみ、更に入念な点検を行なうとともに、施設整備の促進を図るよう努めたい。
 また、ダムの操作については、所定の規則によつて実施しているが、規則によりがたいときは、河川管理者の必要な指示をうけて実施することとしている。