質問主意書

第69回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一号

内閣参質六九第一号
  昭和四十七年七月十八日

内閣総理大臣 田中 角榮      


       参議院議長 河野 謙三 殿

参議院議員小平芳平君提出カネミ油症患者の救済に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小平芳平君提出カネミ油症患者の救済に関する質問に対する答弁書

 政府としては、PCB問題の重要性にかんがみ、諸般の対策を講じているところであるが、ご質問の事項については、次のとおり考えている。

一 カネミ油症の病状の実態のは握、カネミ油症の治療法の研究及び胎児に及ぼす影響の究明等については、各般の研究機関及び専門家の協力により実施してきたところであるが、専門の研究機関を新設することは必ずしも効率的でないので、今後さらに広範な研究機関及び専門家の協力を得て推進を図つていきたい。

二 関係都府県に示した診断基準は、当時西日本を中心に広範囲に発生したカネミ油症患者のは握の促進を図るためにカネミ油症の発生以来その治療及び研究にあたつてきた油症研究班の研究成果に基づき作成されたものであり、これによつてカネミ油症患者の範囲を制限しようとするものではない。国としては、その後の病状の推移を追跡するために、毎年、患者の健康調査を行なつているところであるので、その結果によりカネミ油症の病状の実態に即するよう診断基準についても再検討を加えていきたい。
 また、カネミ油症患者の確認のため新しい認定機関をつくる考えはないが、ひろく、皮膚科、眼科及び内科等の専門医による認定が適切に行なわれるように措置していきたい。

三 カネミ油症は、製造された食品による直接の健康被害であり、公害対策基本法に規定する公害に該当しないので、同法に基づいて制定されている公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法を適用することは困難である。
 また、カネミ油症患者に対し、公害に係る健康被害の場合に準じた救済の措置を講ずることについては、加害原因者が極めて明白であるということもあり、慎重な検討が必要であると考える。

四 生活困窮者に対しては、必要に応じ、既存の生活援護の措置によつて対処すべきものと考えており、カネミ油症患者についてのみ特別の援護の措置を講ずることは困難である。