質問主意書

第69回国会(臨時会)

質問主意書


質問第三号

当面の諸問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和四十七年七月十二日

中尾 辰義      


       参議院議長 河野 謙三 殿



   当面の諸問題に関する質問主意書

一、日本列島改造論について

1 開発行政機構のあり方
 首相はその著「日本列島改造論」の中で、開発行政を強力に推進するため、新しく中央行政機構を設置し、また、国土開発総合研究所を設置すると述べているが、行政機構のあり方については臨時行政調査会の答申をはじめ各種の審議会、調査会の答申等がある。
 政府として、これらの答申と首相のいう開発行政のための中央行政機構との関連はどう把握し、今後の開発行政のための中央行政機構のあり方と具体的な構想はどうなつているか。
2 府県制について
 首相はその著「日本列島改造論」で、地方の広域行政体制を強化し、将来は府県制度を根本的に検討すると述べているが、現行の府県制度については、地方制度調査会をはじめ各種の審議会等関係方面でも答申や論議が行なわれているところである。
 しかし、この問題はあらゆる分野に関連し、かつ憲法で保障された地方の自治権とも密接不可分のものと思われるが、政府として今後首相のいう府県制度の抜本的検討に、どのように着手し、また、地方自治の本旨をいかように理解しているか。
3 社会保障について
 首相はその著「日本列島改造論」の中で、平和と福祉に徹しようと述べ、とくに福祉については、先進国なみの社会保障水準の向上などバランスのとれた国民経済の成長をはかるとも述べているが、わが国の社会保障、とりわけ年金の水準は極めて低いものである。就中、恩給、年金受給者は高度経済成長のひずみの中に埋没し、近年の物価高に生活苦を余儀なくされている現状である。
 政府として今後、わが国の社会保障の水準を先進国のそれと同程度に引き上げるため、いかなる方途によるのか、また、恩給、年金の増額について基本的にどう考えるか。
4 行政改革に対する考え方
 今日までの政府の行政改革のパターンをみると三つに分類できると思われる。一つは、いわゆる一省庁一局削減に見られるごとく一律的な手法であり、二つは、臨時行政調査会のごとき審議会を設置して答申をまち、これを実行する方法であり、そして三つは、現在政府が行なつている年次計画による方法である。この分類方法は、今日までの経緯を分析したもので必ずしも適当ではないかとも思われるが、政府として今後、行政機構改革について基本的にどう考え、どう実行していくのか。
5 公務員制度のあり方
 戦後、わが国の公務員制度は抜本的に改正されたが、その後、四分の一世紀の経過をみてみると種々の問題が内包されているものと思われる。また、世界のすう勢をみてみると、公務員労働者にスト権をはじめいわゆる労働三権が与えられている先進国が多い。
 首相はわが国労組の代表者との会見を積極的に行なうこと等との報道がなされているが、政府として今後、わが国公務員制度についてどう検討し、とくに公務員に対しては労働者として労働三権を与えるべきだと思うがどう考えるか。
6 官民協調について
 首相はその著「日本列島改造論」の中で、「新しい官民協調路線を求めて」とのタイトルで種々述べられているが、わが国の公務員制度は任用面、給与面等でかなり硬直した面がある。従つて、官民協調とは、いわゆる高級官僚の天下りを意味し、これが世論の批判をされているのは周知のとおりである。
 そこで首相のいう新しい官民協調とは何なのか、また、このためには、公務員制度の改正ともからんでくると思うが、政府は今後、官民協調が可能になるための公務員制度についてどう検討されるか。

二、外交問題について

(一) 日中関係について
1 佐藤政権の対中外交と新政権の対中外交の相違を明らかにせよ。
2 日中国交回復のための「復交三原則」を認めるか。
3 復交三原則を基調とした具体的な国交正常化のスケジュールを示せ。
4 政府が日中復交三原則のうち、中華人民共和国が中国を代表する唯一の正統政府であることを認めているが、その唯一の中国政府との間に、「法的な戦争状態が未だ終結していない」点を具体的にどう対処するか。
5 日中国交正常化のため特使派遣を考えているか。
6 大平外相は七日の初閣議後の記者会見で「日中国交正常化が完結する状態になつたときには、日台条約が存在するとは考えられない。」と述べているが、日台条約を廃棄又は破棄という意味か。
7 一九五一年二月一日の国連総会決議四九八(V)(中国敵視決議)が含まれている朝鮮問題決議の取り消し手続きをとるか。
8 今秋の国連総会にのぞみ、同決議に対する政府の具体的態度を明らかにせよ。

(二) 朝鮮問題について
1 不法な駐韓米軍の存在並びに撤退に対する政府の基本的見解を示せ。
2 歴代内閣は韓国に対して多額の借款を供与して来ているが、韓国経済は疲弊しており返済不可能な状態にある。この点どうするのか。今後とも要請があれば韓国に借款を与えるのか。
3 朝鮮民主主義人民共和国と国交樹立する考えはないか。

(三) 日ソ交渉について
1 北方領土問題に対する基本的態度はいかなるものか伺いたい。
2 北方領土問題についてソ連側は先月二十一日付け、ソ連共産党機関紙「プラウダ」でわが国の北方領土返還運動を「アジアに於ける戦後の国境を手直ししようとする露骨な試み」と非難して日本の期待に再び水をかけるような姿勢をみせている。
 このソ連側の北方領土問題に対する考え方に対して日本政府としていかなる見解を持つているか。
3 年内の日ソ平和条約交渉開始に先立ち、首相又は首相特使あるいは外相の訪ソが必要と思うがその用意はあるか。
4 訪ソの必要ありとした場合その派遣時期はいつか。
5 平和条約交渉に先立ち、返還要求の北方領土の地域はどこまでか。四島(歯舞、色丹、国後、択捉)なのか。ソ連側の基本態度が歯舞、色丹両島の返還だけにしか応じないとした場合はいかなる対応策を立てるのか。
6 北千島に対する返還要求の意図はないか。
 北方領土の歴史的経過並びに北方領土に対するソ連の侵入の経過から見て北方領土問題は明治八年八月二十三日に締結した千島樺太交換条約を基点として、北千島を含めた返還交渉をすべきであると思うが、この点はどうか。
7 前内閣において北方領土関係諸島返還後は日米安保条約適用外として、米側の承認を得ると確約しているが、田中内閣においてもその姿勢は変らないか。

(四) 日米共同声明について
1 一九六九年の日米共同声明における韓国・台湾条項に対する新政府の見解を示せ。
2 政府はこの台湾・韓国条項の軌道修正を行なうか。

(五) 事前協議制について
1 安保条約第六条に基づく事前協議制の発議権は日本側にもあるよう変更すべきではないか。
2 沖縄基地から米軍が台湾・朝鮮へ出撃する場合、事前協議では一切拒否するか。
3 戦闘作戦行動とは具体的に何をさすのか。例えば四月三日横須賀にいた米第七艦隊の空母コンステレーションがトンキン湾へ直行したことと、四月八日岩国のF4ファントム戦闘爆撃機二個中隊と海兵隊がフィリピン経由で南ベトナムのダナンに移駐した際も、政府は「発進時には戦闘作戦命令を受けていなかつた」と言明している。
 発進時に戦闘作戦命令を受けたか受けないかを確認するのはどこで行なわれているのか。米国の一方的な都合でどうにでもなる制度ではないか。日本側の意思はどこで生かされるのか。
4 戦闘作戦行動か否かは現実に判定が困難であるならば、その懸念がある行動についても戦闘作戦行動としてとらえるのが、歯どめとしての制度のあるべき姿ではないのか。たとえばKC-135空中給油機の問題にしても地上給油は事前協議の対象となるが、空中給油は対象外という政府見解では国民を納得させることはできない。
 地上給油が問題になるということは給油という行動自体が問題になるということではないか。それが空中における給油は問題にならないとするならばこれほど矛盾した話はないのではないか。

(六) 在日米軍基地及びB52飛来について
1 在日米軍基地の整理・統合問題を検討するため、防衛庁は六月、庁内に次官を本部長とする「基地総合調整本部」を設置したが、その具体的検討内容、最終報告時期の目途等を明確にされたい。
2 沖縄の軍用地継続使用については、公用地等の暫定使用法によつて措置されたが、五月十五日における民有地の契約合意の状況はどうなつているか、合意を得られず強制使用した地主数、面積、基地名を明らかにされたい。
3 沖縄基地の整理縮小については、返還後、検討に入ることになつていたが具体的に米側と交渉を行なう予定はどうなつているか。
4 米軍基地の賃貸借期限については、民法六〇四条が、適用されるという政府の統一見解により、本年七月二十七日で契約期限切れとなるが、全国の契約状況はどうなつているか、特に契約を拒否している民・公有地所有者数を明らかにされたい。
 契約拒否者に対しては、地位協定の実施に伴う土地使用特別措置法の発動が考えられる旨の国会答弁があつたが、これについての方針はどうか。
5 沖縄返還後の去る五月二十日にもB52三機が飛来し問題となつた。その際外相は「こういうことが反復されては困る旨米側に話したところ、米側はこれを了とした。」と答弁している(五月二十三日参、外務)。
 今回の飛来は、この約束を無視するものであり、今回の二十九機の大量飛来は量的にも前回とは比較にならない。
 政府は米側のかかる背信行為にいかに対処するのか。
6 B52の爆弾搭載量は戦闘爆撃機の数十機分に及び従つて三十機にのぼるB52は数百機の戦闘爆撃機に相当するとも言える。これでなお三十機のB52飛来が事前協議の対象にならないとすれば戦略爆撃機の配置に関しては事前協議などはあり得ないことになる。政府はB52の配置の変更について協議の対象となる機数はいか程と理解するか。
7 福田外相は事前協議制度の再検討を約束した。しかし、それは制度そのものではなく運用面に限るとの政府見解である。けれども今回のごとき例を一日も早くなくすために、制度そのものについて早急に米側と全面的再検討の場を持つべきである、と考えるがどうか、なお、政府が予定しているという「運用面での再検討」の実施時期を具体的に示せ。

三、財政問題について

1 対外的にも国内的にも年内補正予算を至急組む必要性があると考えるが、その総枠をどの程度と試算しているのか。
2 年内所得減税は、前国会より強く主張されており、政府は国内景気の動向を見極めてということでポスト佐藤待ちとなり今日に至つたが、国内消費刺激と景気に対する速効性からも、大幅な所得減税を低所得層に対して実施すべきであると考えるが、その減税額をどの程度と見込んでいるのか。
3 対外経済緊急対策としての新円対策七項目は全く名目だけに終り、その実施は僅かに公定歩合の引き下げという金融政策のみに終つたが、円再切り上げの外圧の強まる中で円切り上げ対策を至急実施せねばならぬところまで追い込まれている。この現状を具体的にどう打開する決意なのか伺いたい。

四、農業問題について

1 総合農政で農政の転換を進めているが、その中で農産物の自由化など国際的な影響が強くでてきている。米作転換といつても転換先の果樹、畜産が安定していない。政府は農業のビジョンをどのように考えているか。
2 農林大臣が米価を決定することは、食管法によつて明らかであるが、最近は農林・大蔵間の話し合い、あるいは政府・自民党間の話し合いで、諮問以前に事実上の米価は決定しているというのが実態であり、米価審議会は全く形式的なものとなり、その機能は形骸化している。昨年の米審でも、政府は据置を決定した後に諮問を行なつたということで、米審の機能について審議会内部でも相当論議が行なわれたと聞いているが、政府は諮問のあり方と米審の機能についてどのように考えているのか。
3 今年度の生産者米価に関しては、これまでの農相の発言から「引上げ」が諮問されることは明らかだと考えるが農相の引上げ構想の理由となつているのは、第一点が消費者物価の上昇であり、第二点が労働者賃金の上昇そして第三点が農家の所得対策だと思う。どの位の引上げが妥当だと考えているのか。

五、地価対策について

1 現在、年一回実施されている地価公示制度は、公正な地価を一般に公開し、土地取引きの基準を提示して地価抑制にも役立たせることを目的としていた。しかし、実際には地価の抑制にはほとんど効果をもたらしていない。これを真に効果あらしめるために、早急に公示地点を全国的に拡大するとともに、公共用地の取得にあたつては、すべて公示価格にすることとし、さらに、不動産関係諸税の評価額を公示価格に合せ、特に土地譲渡所得については、公示価格を上回る分について重課する等の措置を講ずることによつて適正価格による土地取引を誘導すべきであると考えるが、見解を示せ。
2 公的機関の土地等の取得価格については、現行の事業認定の告示の時における価格を基準とせずに、当該公共事業の基本計画策定時の公示価格を基準とするように法改正すべきであると考えるが見解を示せ。
3 公共投資によつてもたらされた地価値上り利益については、これを社会公共に還元するという考えに立ち、当該土地の計画策定時以前の価格と譲渡価格との開発差益については、土地増価税等の新設を行ない、全額課税すべきであると考えるが見解を示せ。
4 法人の投機的土地取得に対する具体的な規制策を示せ。

六、物価対策及び電力問題について

1 政府は東京瓦斯の料金引上げを承認、八月実施を決定したが、企業側にどんな値上げの理由があるにせよ、再度慎重な検討が必要である。
 今回の値上げは形式的な検討であり、前内閣総辞職の際のドサクサ値上げであり、全く納得のいかない値上げである。八月値上げを中止し、新内閣の手で検討すべきであると思うがどうか。
2 この際、電気ガス税の廃止を行なえば、消費者の負担を軽く出来ると考えるが、廃止する考えはあるか。
3 もし、新内閣の手で電気ガス税について再検討しないならばその理由を示せ。
4 営団地下鉄や四大都市の市電、市バス値上げは、運輸審議会の答申さえでない段階での認可であり、その悪質なやり方は断じて許せない。すぐ撤回すべきであるがどうか。できなければその理由を示せ。
5 地下鉄運賃などの値上げの大きな理由となつている設備投資は、利用者の料金から先取りすべきでなく、低利の財政資金を活用させるべきであり、低金利政策を物価抑制に利用させるべきであると思うがどうか。
6 政府は、四十七年度の消費者物価上昇率を五・三%とし、その中で公共料金の上昇分として見込んでいた分は〇・七三%ということであるが、ここにきて予想外の公共料金値上げにより変更せざるを得ないと思うがどうか。
7 私鉄運賃値上げの申請をどうする考えか伺いたい。と共に、新内閣の公共料金政策を明示されたい。
8 生産者米価を引き上げたとしても、政府売り渡し価格は据え置くべきであると考えるがどうか。
9 預貯金金利が引き下げられ、一年ものの定期預金金利が現行の年五・七五%から〇・五%引き下げられ五・二五%となるようである。これは物価上昇見通しを下回ることになり国民生活に大きな不安を生じている。物価見通しの再検討をすべきであり、物価政策の強化をすべきであるが、具体策を伺いたい。
10 生産性向上などで料金引き下げの可能なものは値下げし、全体としての水準を一定に保つということが必要である。その具体策を明示せよ。
11 管理価格の対策として、管理価格規制法をつくるべきではないか。
12 政府の行政介入によつて物価引き下げが阻止されている。例えば、酒税確保の見地からの酒店、衛生行政の上から、薬局の設置、その他米店等、もつと適正競争を確保すべきであると思うが緩和策はあるか。
13 理髪店、美容院等のサービス料金を安定させる具体策を示せ。
14 昨年の大幅な円切り上げ(一六・八八%)に伴う、物価対策の強化が打ち出されたが、輸入物資について、価格引き下げの行なわれないものが数多い。政府は、価格追跡調査の結果を明示し、行政指導を早急に実施し、消費者に還元すべきであるがどうか。
15 消費者物価引き下げのため、生活に関連の深い消費物資の輸入枠の拡大を図る。また現在の輸入割当方式を抜本的に改善すべきであるがどうか。
16 輸入自由化または、関税引き下げの効果を明示し、具体的に価格引き下げを指導すべきであるがどうか。
17 輸入物資の加工、流通経路の合理化を推進、指導すべきであるがどうか。
18 輸入総代理店の特権を制限し、他の業者に対し、輸入取扱いを認めるべきであるがどうか。
19 電力不足に対する今後の見通し
 こんにち、わが国における一次エネルギーの約三分の一は、電気エネルギーを転換して補なつているのが実情である。
 国民生活の向上と経済の発展によつて電力需要は、ますます増大するとみられている。しかし、その供給面では公害、環境問題などによる発電所の立地難は日毎大きくなり供給確保が苦しくなつてきている。
 このような実情からみて、電力不足は一部停電もやむをえない所にきており深刻なる社会問題になりかねない。しかも他方では原子力利用に伴う、環境破壊、火力発電による公害の発生等、解決すべき問題が山積されている。
 したがつて、電力の需要供給のバランスを保ち環境保護、公害防止に対していかなる諸策で臨まれるのか具体的な対策がまたれているが、次の諸点について伺いたい。
(1) 昭和六十年代を展望しての需要供給の見通し
(2) 環境保護、公害防止の具体策
(3) 電力需給に関する技術開発

七、文教行政について

1 総理は就任に際し、日本にとつて最大の問題の一つは「教育」であるといい、積極的に教育問題に取りくむ決意を表明された。しかしそれは国民の合意の上でなくてはならない。ひとり政府の独断先行であつては決して良い教育はありえない。
 教育改革は、実施されなくてはならないことは誰もが認めているが、それが中教審の答申であるとは大多数の国民が認めていないのである。これを独断で実施をするなら、かえつて今日の教育界に混乱をきたすことになる。
 国民的合意に立つた教育改革を行なうために、政府は全力を上げて国民、教育関係者の声に耳を傾けるべきである。
 このことがなくして真の教育改革はありえない。教育改革の方途を再度検討し、国民的合意による教育改革をすべきであるが所信を明らかにせよ。

2 良い教育を行なうためには財政的うらづけが必要である。就学率の上では、先進国のわが国の教育も、その内容特に財政面ではまつたく遅れている。国民所得に占める教育費の比率は、米国六・四%、ソ連九・〇%、イギリス六・四%、フランス五・二%に対し、わが国は四・八%と非常に低い。当面する教育問題の中にも、財政面が豊かになれば解決するものも多くあり、又金がないが故に問題が複雑化しているものも多い。私学の問題、授業料の問題、教員の問題等早急の解決が叫ばれているものも多い。教育に力を入れるといわれた総理は、英断をもつて、財政面を欧米並みにもつていくべきであるが具体策を示せ。

八 公害対策について

1 光化学スモッグ対策について
(1) 未だ原因が解明されておらず、そのため政府による専門の研究機関を設置して、まず原因究明を早急にすべきであるがどうか。
(2) 患者が続出しているが、光化学スモッグが公害である以上、その医療救済制度を確立すべきであるがどうか。
2 環境汚染における規制の問題について
 現在施行されている濃度による規制は、もはやザル法である。したがつて絶対量に対する規制に移行せねばならぬと思うがどうか。
3 原子力発電所の安全体制について
(1) 高濃度の放射性廃棄物の処理対策を明確にし科学的立証を行なうべきであるがどうか。
(2) 大事故等によつて、炉心から大量の放射性物質が流出した場合の安全体制を明らかにすべきであるがどうか。
4 新全国総合開発について
 公害対策及び環境汚染を防止することを重点に置いて再検討すべきであるがどうか。

九、災害対策について

1 今回の日本列島の梅雨前線の集中豪雨による全国の被害地、被害者の現況と、その対策について政府の所見を伺いたい。
2 豪雨による山津波、土砂崩れ事故は、ここ数年来の量も特徴的な災害となつている。それによる犠牲者の数も年々ふえているが、その被害の状況をみると、山崩れによるものは、無計画な、丘陵地帯の住宅地区の開発、排水やがけ崩れ防止の施設が十分でないこと、又山林の乱伐のあと、不完全な植林対策と、畑地、園芸用地に転作したことが大きな原因になつている。
 これらの指導保護施策を徹底し、防災教育の充実をはかるべきであると思うがどうか。
3 現在危険個所の指定地域は、全国一万三千カ所であり、指定された個所も財政不足の関係で対策も遅延がちとなり放置されているものがほとんどであり財政上の緊急措置をはかるべきであるがどうか。
4 今回の土砂崩れによる高知の土佐山田町の事故は指定個所でないところであり大被害を起し尊い人命を失つている。
 政府は全国の危険個所、急傾斜地法の適用地の総点検を早急に行ない、住民の防災知識の徹底、危険地区での避難場所の選定等を含め、防災体制を根本的に考えるべきであると思うがどうか。
5 また、河川について、一級河川はもとより、二級河川、普通河川等による河川の決壊による施設破壊、農林関係等の被害は甚大である。よつて河川及びダム施設の総点検を行ない、要量、放水路関係等の不備と、ダム操作上、普通時、緊急の場合の行政上の指揮系統の責任を明確にすべきであるがどうか。

  右質問する。