質問主意書

第68回国会(常会)

答弁書


答弁書第三号

内閣参質六八第三号
  昭和四十七年二月二十九日

内閣総理大臣 佐藤 榮作      


       参議院議長 河野 謙三 殿

参議院議員鈴木一弘君提出財政経済運営に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員鈴木一弘君提出財政経済運営に関する再質問に対する答弁書

一について

 貴見のとおりである。

二について

 こうした長期の方針が国民総支出の各項目に長期的にどのような影響を及ぼすかについては、四十七年度に予定している新しい長期経済計画の策定の過程において、検討してまいりたい。

三について

 政府としては、輸出品の高度化、研究開発集約商品の重視、日本貿易振興会等の調査・広報活動の拡充、各市場の需要への適応等により、輸出構造の高度化多角化に努めることとしている。なお、政府としては、世界貿易とわが国輸出の伸びとの間に一定の量的な関係を想定する考えはとらない。

四について

 財政金融政策等の運営によつて、社会資本の整備、社会保障の充実、環境保全対策の強化等を重点的に進め、長期的に国民福祉の充実を図つてまいりたい。

五について

 ご指摘の五項目ごとに計画を策定することはしていないが、政府としては、昭和四十五年五月に「新経済社会発展計画」を策定し、国民福祉の向上のための社会開発に関する総合的な考え方を示すとともに、前回の答弁書においてお答えした社会福祉、生活環境整備等に特に関連の深いもののほか、次の計画を策定している。
1 第六次道路整備五箇年計画(四十五-四十九年度)
 新たな道路網体系の確立の下に、高速自動車国道等の国土開発の基幹的な道路、都市周辺の幹線道路、市街地区域内の道路および生活基盤としての道路に重点をおき、総額十兆三千五百億円を道路整備に投資する。
2 第四次港湾整備五箇年計画(四十六-五十年度)
 港湾貨物量の増大、コンテナ、フエリー等新輸送方式の拡大等に対処するとともに、地域開発の促進、安全および公害対策の推進を図るため、総額二兆千億円を港湾整備に投資する。
3 第二次空港整備五箇年計画(四十六-五十年度)
 航空輸送需要の増大、航空機の高速化、大型化等に対処するため、総額五千六百億円を空港整備に投資する。
4 海岸事業五箇年計画(四十五-四十九年度)
 海岸保全施設の整備を計画的に促進し、もつて国土の保全と民生の安定を図るため、総額三千七百億円の海岸投資を行なう。
5 土地改良長期計画(四十-四十九年度)
 今後の農業発展の方向に即応して農業生産の基盤の整備および開発を図り、もつて農業の生産性の向上、農業生産の選択的拡大、農業構造の改善等に資するため、総額二兆六千億円に相当する事業を実施する。
6 第四次漁港整備五箇年計画(四十四-四十八年度)
 漁業の動向に即応して、全国にわたり漁港を計画的に整備拡充し、その機能を増進させ、もつて漁業生産の増大と経営の近代化に資するため、総額二千三百億円を漁港整備に投資する。
7 特定交通安全施設等整備事業五箇年計画(四十六-五十年度)
 最近における交通事故の発生状況にかんがみ、緊急に交通の安全を確保する必要がある道路について、総合的な計画のもとに特定交通安全施設等整備事業を実施することにより、これらの道路における交通事故の防止を図り、あわせて交通の円滑化に資するため、国が負担または補助して行なう特定交通安全施設等整備事業として、総額二千九百三十億円に相当する事業を行なう。
 このほか、地方単独交通安全施設等整備事業として、総額三千三百五十一億円に相当する事業がみこまれる。
 なお、次の計画を新たに策定することとし、近く決定の予定である。
1 第四次治水事業五箇年計画(四十七-五十一年度)
 最近における河川流域の発展、流況の変化、災害の状況、および水需要の増大等に対処するため、総額四兆五百億円の治水投資を行なう。
2 第四次治山事業五箇年計画(四十七-五十一年度)
 国土保全と水資源のかん養に資するため、民有林治山五千五百億円、国有林治山千三百五十億円、総額六千八百五十億円の治山投資を行なう。

六(1)(2)について

 ご指摘の五項目ごとに個別の見通しを特に策定することはしていない。従来から「新経済社会発展計画」その他各種の計画の策定に当たつて、財政収支の見通しをも十分勘案するなどの配慮を行なつているところであり、四十七年度において新しい長期計画を策定するに当たつても、計画実現に伴う財政の適切な運用について十分配慮してまいりたい。

六(3)について

 これら施策の推進に当たつては、昭和四十八年度以後においても経済情勢等を十分勘案しながら適切な公債政策の活用を図つてまいりたい。

六(4)について

 今後の税制のあり方については、新しい長期計画の策定と並行して税制調査会にも検討をお願いし、その結果をまつて適切に対処してまいりたい。