質問主意書

第68回国会(常会)

質問主意書


質問第五号

天然牛乳供給確保等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和四十七年六月八日

足鹿 覺      


       参議院議長 河野 謙三 殿



   天然牛乳供給確保等に関する質問主意書

 人間の生活環境をとりまく諸公害をいかに除去するかが、いま重大なる政治課題として国民の関心の的となつている。なかでも、食品公害は消費者に日常直結しているだけに、その影響は極めて広範であり、重大な結果をまねくものである。
 このような情勢のなかで、近年新鮮にして栄養バランスのとれた自然食品の代表格である飲用牛乳について、異種脂肪カゼイン、乳糖等を主原料とする疑似牛乳の出廻りが噂され、さらに市乳大手の某乳業者は、飲用牛乳のなかに異種脂肪を混入していたという事件が発生し、消費者の飲用牛乳に対する不信感は一層の高まりをみせている。
 このような不祥事のおこる主因の第一は、その業に携わる者のモラルの問題がある。第二は、現行の乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)に不明確なところがあり、疑似牛乳が出廻りやすい条件がある。第三は、消費者にわかりやすい製品表示がなされていない等にある。
 かかる実態のなかで消費者は本ものの牛乳を、生乳生産者は生乳の飲用消費拡大をともに熱望している。
 よつて、政府は以上のごとき実態を充分勘案し、現行乳等省令を次の各項に示す内容に改正する意志があるかどうか質問する。

1 乳等省令制定当時とは、生乳の需給事情が大幅に異なり、現在の生乳生産量からすれば、充分供給が可能であつて、過去における供給不足時代とはその背景を異にしているので、政府は消費者に対し、牛乳と称するものについては、生乳の本質をそこなうことなく処理した本ものを飲ませることを基本とすべきであると考えるが、これに対する政府の見解はどうか。

2 飲用牛乳はすべて「牛乳」によつて賄われるべきであるが、生乳の供給が地域的、時期的に万一間に合わない場合を考慮し、その供給体制ができるまでの間、加工乳については、生乳に最も近い濃縮乳にかぎつてその混入を認めるべきであると考えるがどうか。

3 この場合「加工乳」の規格は、生乳七〇%以上を使用することとし、残余の部分は濃縮乳とする。したがつて、従来のごとき微量栄養素の添加はもとより、一切の乳製品の混入をも禁止すべきであると考えるがどうか。

4 「濃縮乳」の規格を新たに設定し、生乳に準ずるものとして生乳から水分の一部を除去し、生乳の本質をいささかもそこなわないよう処理したもので、無糖れん乳とは、明確に区別すべきであると考えるがどうか。

5 この場合の濃縮乳は、輸入の自由化は絶対すべきでないと考えるがどうか。

6 なお、政府は、疑似牛乳の横行を排除するため、乳業者に対し、生乳の用途別数量、製造方法、製品の出来高等生乳の用途別受入れから牛乳乳製品の生産流通にいたる原材料の使用の実態を明確にし、その報告を義務づけ、これをチェックするための立入検査権を整備強化するとともに、その検査結果を毎月公表するに必要な所要の措置を講ずべきであると考えるがどうか。