質問主意書

第65回国会(常会)

質問主意書


質問第一号

東京海上ビルの建築に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和四十六年二月二日

田中 一      


       参議院議長 重宗 雄三 殿



   東京海上ビルの建築に関する再質問主意書

 本問題については先に第六十一回国会において、質問主意書を四十四年六月二十日提出し、四項目にわたり政府の見解をただしたのであるが、同月二十七日の答弁書では、諸般の状況を考慮してなお慎重に検討したいというのみにて、政府の明確な見解が明らかにされないまま放置されていたのである。
 その後、東京海上火災保険会社が、東京海上ビルの建築計画を地上三十二階・軒高百二十七メートルから地上二十五階・軒高九十九・七メートルに変更し、四十五年九月十四日、建築基準法第三十八条の規定による構造認定申請書を建設大臣宛に提出し、同月二十四日建設大臣はこれを構造上問題なしと認定し、これにもとづき、東京都は同年十二月十七日、同ビルの建築確認を行なつた。
 これによつて、昭和四十一年以来、四年余にわたつてその建築確認をめぐり、社会的に大きな関心をよんだ本問題も結着をみることとなつたが、合法的な手続きをふんだ建築確認が、国民の十分な納得を得る説明もなく長期にわたり留保され、その結果、建築主に建築企画の変更を余儀なくさせたことは、許されるべきでなく、建築行政上大きな汚点を残したと云わざるを得ない。今後このような不明朗な処理が繰返されてはならないと考える。よつて、次の諸点につき政府の明確な見解をただすものである。

一、四十二年十月に提出された計画変更前の構造認定の申請が三年余の長期にわたり建設大臣の許で留保された理由は何か。

二、軒高九十九・七メートルに計画変更された後直ちに構造の認定がなされたが、この措置について、建設大臣は、何等の法的根拠もなく、丸の内地区における建築物の高さを百メートル以下に規制しようとしているのではないかと憶測されている。それは事実であるか。また、百メートル以下に規制する根拠は何か。

三、丸の内地区は現在容積率千パーセントの地区であり、このほかに建築物の高さを規制する法的根拠はないにも拘らず、帝国ホテル、AIUビル等いずれも高層計画を大幅に下げることによつて構造の認定を受けている。これら一連の措置と現行容積地区制との矛盾をどう説明されるのか。今後本地区では百メートルを最高限度とする方針と推察されるが、如何なる措置によつて確立するつもりであるか。

四、法に定められた容積率による高さの限度の適用が建設大臣の一方的な裁量によつて制限され、その結果、確認申請後に設計変更を強いられることによる建築主及び設計者の受ける損失の補償についてどう考えるか。

五、丸の内地区について、新たに建築物の高さを規制する意向であるならば、速やかに法制化をはかり、国民の前に明確な基準が示されるべきと考えるが、その意思があるか。

六、最近、建設大臣の構造認定を必要とする高層建築の確認申請が増加しているが、数カ月を要する等審査の遅延が著しく、これによつて建築主が不測の損害を被る場合が多い。建設省は審査期間を短縮するため、審査機構の整備等有効な対策を講ずる意思があるか。あればその具体策を示せ。