質問主意書

第59回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一〇号

内閣参質五九第一〇号
  昭和四十三年八月十日

内閣総理大臣 佐藤 榮作      


       参議院議長 重宗 雄三 殿

参議院議員二宮文造君提出米価問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員二宮文造君提出米価問題に関する質問に対する答弁書

一、予算米価と決定米価との差から生ずる歳出予算額の不足については、食糧管理特別会計国内米管理勘定に計上してある予備費(一、五〇〇億円)を使用することによつて処理することとしている。
これに伴う損失額の増加については、消費者家計の許容しうる限度において、消費者米価の引上げを行なう等の方法により処理する方針であるが、これは、昭和四十三年度予算が総合予算主義の建前から編成され、これに伴い、予算編成方針において、「食糧管理特別会計繰入れについては、年度途中における米価改訂等、事情の変化があつても、これにより補正財源を必要としない方式を確立する。」こととしていることによるものである。

二、(一) 食糧管理特別会計予算においては、例年、生産者米価は前年の決定米価を用いて積算することとしている。
(二) 昭和四十三年度食糧管理特別会計予算においては、国内米の買入数量を八〇五万トンと見込んでいるが、これは、異常の年であつた昭和四十二年度を除く過去における最高買入数量(昭和四十一年度の買入数量八〇四万トン)と同水準の数量を見込んだものである。
(三) 昭和四十三年度食糧管理特別会計予算は、一、に述べた総合予算主義の建前から、過去最高の繰入額である二、四一五億円を一般会計より同会計調整勘定に繰入れることとして編成されており、年度途中において米価および買入数量に変動があるのは食糧管理特別会計の場合避け難いことであるが、それらの変動があつても、補正財源を必要としない方式をとるというのが当初からの方針であるので、昭和四十三年度予算編成が一貫性に欠けているとは思われない。

三、本年においては、米価正常化の必要性と総合予算主義維持の見地から、生産者米価の引上げ等に関連して、生産者米価の引上げに見合うもののほか、いわゆる末端逆ざやの解消を図ることを目途として、消費者家計の許容しうる限度において、消費者米価の引上げを行なわざるを得ないと考えている。

四及び五、生産者米価及び消費者米価については、米価審議会において、両者の関連を含め、そのあり方につき、審議が行なわれる予定であつたので、その結論を得る以前に、政府において何らかの改定を見込むのは適当でないと考え、消費者米価を一応現行のままとして消費者物価の見通しを立てた次第である。

六、昭和四十三年度食糧管理特別会計予算においては、八〇五万トンの米の買入数量を見込んでいるが、この買入数量以上に買い入れる必要が生じた場合には、同会計の予備費(一、五〇〇億円)及び昭和四十三年度特別会計予算総則第十一条第三項第一号(弾力条項)の規定に基づき、所要の買入費を賄う方針である。

七、米穀の需給が大幅に緩和している等の状況からみて、総合農政の立場から食糧管理制度の検討に着手すべき時期にたち至つたものと考えており、その検討の結果をまつて所要の改善措置を講ずる予定であるが、本年産米について買入制限を行なう考えはない。

八、政府としては、一、で述べたように、昭和四十三年度食糧管理特別会計予算において、「食糧管理特別会計繰入れについては、年度途中における米価改訂等、事情の変化があつても、これにより補正財源を必要としない方式を確立する。」方針により処理する考えであるが、この建前のもとにおいても、食糧管理法の規定に基づき、生産者米価を「生産費及び物価その他の経済事情を参酌し、米穀の再生産を確保することを旨として」(同法第三条第二項)、また、消費者米価を「家計費及び物価その他の経済事情を参酌し、消費者の家計を安定せしむることを旨として」(同法第四条第二項)適正に定めることは、十分可能であり、また、そのように措置する方針である。

九、昭和四十三年産生産者米価については、食糧管理法の規定に基づき、米をめぐる諸情勢を十分勘案しつつ、適正に決定する所存である。

十、昭和四十三年度予算は、恒例的な予算補正の慣行を排除して総合予算主義の建前のもとに、編成されたものである。
 このような見地から、食糧管理特別会計についても、過去最高の繰入額である二、四一五億円を同会計調整勘定に繰入れることとしており、このような予算措置のもとに米価及び買入数量の変動に対処することとしている。
 なお、これは、財政体質改善の第一歩を踏み出すという見地から行なわれたものであり、総合予算主義の原則はあくまでも堅持する所存である。