質問主意書

第59回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第七号

内閣参質五九第七号
  昭和四十三年八月十日

内閣総理大臣 佐藤 榮作      


       参議院議長 重宗 雄三 殿

参議院議員渡辺武君提出職安行政に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員渡辺武君提出職安行政に関する質問に対する答弁書

一 (1)及び(2) 公共職業安定所の行なう職業紹介業務の正常な運営を確保するため、第三者による不当介入を排除し、求職者とは認められない者の来所による業務の混乱を避けるための措置を講ずることは、職業安定関係法令の趣旨からみて当然のことであり、何ら法令に違反するものではない。

二 (1) 職業安定行政が憲法、雇用対策法、職業安定法等の諸法規を遵守して行なわれることは当然であり、この立場に立つて従来から行政を進めてきている。
(2) イ及びロ 就職促進の措置に係る認定ないし賃金に関する判断は、職業安定法第二十七条第三項の規定により労働大臣が中央職業安定審議会の意見を聞いて定める基準によつて行なつているところである。
ハ 就職促進の措置は、対象者の知識、技能、職業経験その他の事情に応じて行なわれるべきものであり、その期間は、当該措置の内容に応じて定めているところであつて、これを短縮することは適当でない。
ニ 行政不服審査については、審理の公正を確保するため所定の手続のもとに慎重な事務処理を図る必要があり、福岡県においては一時に多数の請求がなされたこともあつてその事務処理のながびいているものもあるが、制度の趣旨に従い審理の促進に努めているところである。

三 (1) 全日自労及びその組合員が労使関係の当事者でない公共職業安定所に対して行なう個別行動又は団体行動は、憲法第二十八条の保障する団体交渉その他の団体行動権の行使には該当しない。
(2) 失業対策事業に就労する労働者が事業主体に対して行なう正当な団体交渉その他の団体行動は、憲法第二十八条の団体交渉その他の団体行動権の行使に該当する。
(3) 労働省及び公共職業安定所は失業対策事業についてはその実施を図るための権限を有しており、緊急失業対策法第六条、第十条、第十条の二、第十六条の三、第十七条、第十九条、第二十二条等に規定されているとおりである。
 また、中高年齢失業者等に対する就職促進の措置については、職業安定法第二十六条、第二十七条、第二十九条等に規定されているとおりである。
 公共職業安定所と失業対策事業に就労する労働者又は求職者との間には使用者対被使用者という関係はなく、したがつて、この間の関係は「労使関係」というに当らないものである。
(4) 失業対策事業の事業主体は、法律によつて定められているもの以外の労働条件、たとえば、作業環境の整備、安全衛生に関する事項等については団体交渉を行ない得るものである。
(5) 失業対策事業就労者の労働条件に関しては、従来から公共職業安定所、都道府県及び労働省等がその所管事項について陳情を受けているところである。