質問主意書

第59回国会(臨時会)

質問主意書


質問第三号

所得税の白色申告に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和四十三年八月六日

渡辺 武      


       参議院議長 重宗 雄三 殿



   所得税の白色申告に関する質問主意書

 現在多くの中小・零細企業家は、「白色申告」によつて納税し、しばしば税務署から実情にあわない重い更正決定をうけている。このさい、青色申告の場合(所得税法第一五五条第二項)とは異り、更正通知書に理由を附記しなければならない旨が法定されていない。したがつて納税者がこの更正決定の理由を質問しても、税務署は「法律で義務づけられていない」「秘密である」などの言葉で理由の説明を拒否している。税務署のこの態度は審査請求の場合でも同じである。これは問答無用のファッショ的徴税行政といわなければならず、近年の倒産の急増にみるように苦境にある中小・零細企業家の強い不満の的となり、多くの紛争の原因となつている。
 またこのような徴税行政は、憲法第一一条「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。」、同第二九条「財産権は、これを侵してはならない。」、同第三〇条「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」、同第一四条「すべて国民は、法の下に平等であつて……」などの国民の基本的権利に照らしてみても、また国税通則法第一条「この法律は……税務行政の公正な運営を図り、もつて国民の納税義務の適正かつ円滑な履行に資することを目的とする。」に照らしても、さらには行政不服審査法第三三条「処分庁は、当該処分の理由となつた事実を証する書類その他の物件を審査庁に提出することができる。審査請求人又は参加人は、審査庁に対し、処分庁から提出された書類その他の物件の閲覧を求めることができる。」に照らしても、明らかに不当、不法なものである。
 政府は、白色申告の更正決定のさい、その理由を明らかにすべきであると思うが、どうか。また、更正通知書に理由を附記しなければならない旨を法律で定めるべきであると思うがどうか。もしできないとすればそのそれぞれの理由はなにか。

  右質問する。