質問主意書

第58回国会(常会)

質問主意書


質問第二号

青森県三戸郡倉石村における原野入会権をめぐる紛争事件に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和四十三年四月十九日

黒柳 明      


       参議院議長 重宗 雄三 殿



   青森県三戸郡倉石村における原野入会権をめぐる紛争事件に関する質問主意書

 青森県三戸郡倉石村又重部落における山林原野の入会権をめぐる紛争は、長期間裁判で争われた結果、昭和四十一年十一月二十五日最高裁判所は、第一、二審判決を破棄自判した。すなわちこの判決は、最高裁判所が、民訴法第四百八条第一項第一号に規定する「確定したる事実に基づき、裁判を為すに熟した」と判断したものであつて、本件原野についての入会の事実を「適法に確定したる事実」と認めたものである。しかるに、その後同紛争は継続し、昨年九月には、五戸警察署の武装警官出動の事態にまで発展した。この事件に関し、次の諸点について質問する。

一、政府は、最高裁判所昭和三四年(オ)第六五〇号上告事件主文第一項をいかに解釈するか、本件原野の所有権及び入会権につきいかなる見解を有しているのか、その根拠を明らかにされたい。

二、青森県三戸郡倉石村大字又重売主所有権者山田武雄外百四十二名と宮城県古川市中里字大屋敷二十九買主高橋兵輔とは昭和四十三年一月三十日山林売買契約を締結した。
 右山林売買契約について、宮城県塩釜警察署北浜交番警察官、塩釜署防犯課警察官が執拗に調査したことがあるか。
 宮城県警古川刑事は高橋兵輔に対して右売買契約を解約するよう迫つたことがあるか。
 県警はいかなる法的根拠に基づいて、山林立木売買に干渉するのか。
 右事実は警察法第二条第二項に違反してはいないか。
 また右事実は刑法第百九十三条に該当してはいないか。

三、昭和四十二年九月三日本件山林に入会し、同地上の立木を伐採運搬しようとした岩手県柴波郡柴波町赤沢字杉町十九番地 木材業 及川貴示、神奈川県鎌倉市大字大町四丁目二番の十一 弁護士 森吉義旭、八戸市大字糖塚字北糖塚二十九番地 弁護士 浅石大和に対し、同日午前十時頃五戸警察署長指揮の武装警察官十数名が現場へ押し寄せ、拡声器をもつて連呼し、この立木を切れば直ちに逮捕すると威赫し、いつでも発砲し得る態度を整えて現場作業員を連行すると強要し、同現場から約五百メートル位離れた草生地で取調を開始する旨宣言して、前記三名及び伐採作業員に対して盗伐の疑で取調を同日午前十時から午後四時頃まで継続した事実があるか。
 また、右取調を担当以外の警察官が武装のままで現場を包囲して尽大なる恐怖感をいだかせた事実があるか。
 五戸警察署長等の行為はいかなる法的根拠に基づくか明らかにされたい。