質問主意書

第57回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一号

中央卸売市場法改正に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和四十二年十二月二十一日

北村 暢      


       参議院議長 重宗 雄三 殿



   中央卸売市場法改正に関する質問主意書

 佐藤首相は第五十七回国会初頭の所信表明演説において、最近における物価の上昇基調は根強いものがあることを認め、物価の安定を確保し、経済の成長を図りたいと述べている。しかるに物価上昇に寄与率の高い国民生活に必需の生鮮食料品の価格は、著しく上昇し、年末年始を控えた東京都中央卸売市場の入荷予報によつてみるも、大根、ほうれん草、みかん、りんご等の大衆必需青果物の値上りは一層酷くなると報じている。
 政府は物価対策の一環としてこの流通問題をとり上げ、とくにその中心となる中央卸売市場の整備については、農林省に市場審議会を設け、その施設整備、新設計画、中央卸売市場法の改正等について検討を加え、近くその成案を得ることとなつているようである。しかし、政府の物価対策とくに生鮮食料品の流通改善の効果は少しも上らず、年末を控えその値上りは顕著で、これ以上実質所得を低下し、国民生活を窮迫に陥れることは許されない事態に直面しているといえる。この意味でわれわれは、とくに中央卸売市場法の早期改正を要望するとともに、次の諸点について政府の所信を質し、具体的な方針を明示されるよう要望するものである。

一、中央卸売市場法は大正十二年制定以来すでに四十数年を経ており、その配置、業務内容共に著しく変つている中で現実の事態に即応して、政府は、法体系を近代化し、開設者に市場の取締り、起債、用地買収等について強力な権限を与え、市場流通圏と行政区域とがはなはだしく交錯する場合は数市共同の公営企業体をも認める等開設主体の強化を図る必要があると思うが、この点をどう改正する所存であるか。

二、大都市における中央卸売市場の集散市場化、その機能の広域化にかんがみ、現在私法人となつている卸売人を公益法人に改めよとの声があるが、公共性と商業性とのかね合いにおいて、卸売人をどのように性格づけようとしているか。

三、大都市市場における仲買人の使命は重大である。これを強化、大型化し、大量迅速な取引を行ない、正しい評価と分荷を行なわしめるため仲買人を必置条件とする法改正の要望が強くなつているが、法改正に当つて仲買人をどのように規定しようと考えているか明らかにされたい。

四、流通機構の改善のためその近代化資金融資制度が新設されようとしていることは、一歩前進であるが、農林、通産、厚生三省がそれぞれの所管公庫の扱いとしようとしてせりあいの形となつている。すでに行政管理庁の指摘もあり、中央卸売市場法改正を期としてこれを一元化する意思はないか。しかして一元化する場合市場行政所管の農林省がこれを担当することが妥当であると思うがどうか。

五、物価対策としての流通機構の近代化、合理化が国民の切なる要望となつているとき、建設省、農林省、通産省、厚生省等の流通行政はバラバラであつて総合性統一性に欠けていることは融資の場合と同様である。政府は流通センター、中央卸売市場、地方市場、民営総合卸売市場等流通機関に対する行政をどう統一し、物価対策に即応しうる総合的市場行政をどう実現せしめる意図であるか、具体的対策を示されたい。

六、政府の物価対策と生鮮食料品流通改善対策が、直接その価格の安定ないし値上げ抑制につながらないのは、生鮮食料品の生産と出荷組織において、何らの価格安定基盤、価格抑制基盤が確立していないためである。この点にかんがみ、野菜生産出荷安定法、果樹農業振興特別措置法、畜産物の価格安定等に関する法律等の実質的効果をどのように挙げようとしているか、またそれらと中央卸売市場法改正とをどのように結びつけようとしているか基本方針を明らかにされたい。