質問主意書

第39回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一号

内閣参質三九第一号
  昭和三十六年十月二十七日

内閣総理大臣 池田 勇人      


       参議院議長 松野 鶴平 殿

参議院議員山本伊三郎君提出林野特産物(林野雑産物を含む。)補償の受給資格に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山本伊三郎君提出林野特産物(林野雑産物を含む。)補償の受給資格に関する質問に対する答弁書

 調達規第三十七号「林野特産物損失補償額算定基準」は、林野を駐留軍の用に供することによつて、林野特産物の生産または採取について権利または入会慣行を有する者がこうむる損失に対する補償額算定の際における基準を定めた内規である。
 政府の行なつている入会慣行に対する補償は、一定地域の住民が一定の山林原野で事実上収益してきた行為が、その林野を駐留軍に提供することにより阻害されたことから現実にこうむる損失をてん補する必要があることを認めて実施しているものである。したがつて、本調達規に規定する「入会慣行」の意義も補償との関連において理解されるべきものである。

一、二、について

 前記調達規第三十七号第一条は「林野を駐留軍の用に供することによつて、林野特産物の生産または採取について権利または入会慣行を有する者がこうむる損失の補償額の算定について定めるものとする。」と規定しているが、政府が行なつている補償の前提となる入会慣行とは権利(米駐留軍の使用開始時以降にわたつて主張しうべき権利をいう。)に基づくことなく、米駐留軍(占領時代から引き続いて使用中の場合は、占領中のものを含む。)の使用開始時まで従来から継統的に事実として関係住民が提供施設区域内の林野において右調達規第二条第二項および第三項に掲げられているような林野特産物の採取等を内容とする収益を行なつてきた事実をいうものである。
 なお、その利用は、濃淡の差はあれ、一般に団体性を有するものといえよう。

三、について

 入会慣行を有する住民の内部における収益関係は、それが団体性を有する限りにおいては、御説のようなものであるのが通常であろう。

四、について

 本調達規にいう入会慣行の存否は、前述のような利用について、当事者間の合意または当該土地の所有者その他の管理者による許容がなされていたかどうかによるものである。