質問主意書

第26回国会(常会)

答弁書


答弁書第一一号

内閣参質第一一号
  昭和三十二年五月十日

内閣総理大臣 岸 信介      


       参議院議長 松野 鶴平 殿

参議院議員相馬助治君提出参議院大阪府選出議員補欠選挙公報に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員相馬助治君提出参議院大阪府選出議員補欠選挙公報に関する質問に対する答弁書

一、公職選挙法第百六十九条第二項の「原文のまま掲載しなければならない」との規定は、選挙管理委員会に対し、申請された掲載文の内容を審査してその掲載を拒否する権限を認めることは、選挙の自由公正を確保する見地から妥当でなく、また、掲載を拒否すべきかどうかの判断は、一般に極めて困難であり、これを法律上の義務として選挙管理委員会に課するときは、微妙な判断の誤りから選挙の規定違反、従つて選挙全体の効力に関する問題を起し、選挙の安定を害するおそれが多いとの考え方に基くものと解される。このような見地から、大阪府選挙管理委員会のとつた措置は、妥当なものと考える。
 なお、公職選挙法第百六十九条第二項の規定は、選挙管理委員会に対する義務規定であつて、もとより掲載文の申請者に対する特別の免責規定ではないから、それが善意の第三者の利益を侵害し、又は刑罰法規に触れる場合には、申請者は、それぞれの法令によつて、民事上又は刑事上の責任を負わなければならないものである。

二、大阪府選挙管理委員会の質疑に対して、一に述べた見解に基き、自治庁の所見を述べたものである。

三、A 一の後段において述べたように、本人の刑事責任を免れ得るものでないことを説明し、あくまで訂正を求めるのが妥当であると考える。
  B 選挙管理委員会は、責任を負う立場にあるものとは、思わない。
四、大阪府選挙管理委員会につき調査したところ、「選挙妨害のおそれあり」として発送中止を勧告した事実は認められない。