質問主意書

第26回国会(常会)

質問主意書


質問第一一号

参議院大阪府選出議員補欠選挙公報に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和三十二年四月三十日

相馬 助治      


       参議院議長 松野 鶴平 殿



   参議院大阪府選出議員補欠選挙公報に関する質問主意書

 昭和三十二年四月二十三日執行参議院大阪府選出議員補欠選挙にあたリ候補者ふるた覚成氏は、その公報に、
「大阪の幸福相互銀行が内容を云々されるような話を時々聞きます………金融をうけておられる方はともかく、若し万一預金の有るような方は他の銀行に変えておかれた方が安心ではないでしようか」
と掲載し、善意の第三者たる幸福相互銀行に対し、国の費用をもつてする公報を利用して多大の損害を与えた。今後この種事例が頻発するならば、事きわめて重大と言わなければならない。
 よつて右に関し次の各項に就き政府の所見をおたずねする。

1 大阪選管の執つた態度は正しいものと認めるか。
 但し公職選挙法第一六九条第二項の規定はかかる事例につき善意の第三者の利益が故意に侵害されることをも認める積極的な規定なりと判断するか。又この際、その原稿が客観的に見て、明らかに違法であり、第三者の利益を著しく害し、且つ掲載を拒否しても選挙妨害とならないと認められる揚合においても、その掲載を拒否し得ずと思うか。

2 該公報の掲載にあたつて大阪選管は、自治庁の意見を求め、その許可を得たものと言われている。かかる指導は、公職選挙法第五条第二項の規定により指揮監督権を有する自治庁長官として妥当なりや否や見解を問う。

3 かりに(1)(2)の質問に対し「妥当なり」内至は「止むを得ず」との見解ありとすれば、次の如き事例発生のおそれがあるが、それに対する政府の見解を問う。
A 刑法によつても当然問題とされる程度の個人或は団体への攻撃、誹謗又はワイセツ文書等を公報に掲載せしめるべく、原稿を提出し選管の注意にも耳をかたむけず、あく迄掲載せよと主張した場合、選管は如何なる態度をとるを妥当とするか。
B 本件の事例の如き場合において、大阪幸福相互銀行が致命的な損害を受けたとする場合、被害者が候補者に対して損害の賠償を求める時、選管にも法的責任内至は道義的責任ありと思惟するや否や。

4 該公報を見た被害者たる幸福銀行は事実無根なる弁明書を得意先に発送せんとしたるところ大阪選管は“選挙妨害のおそれあり”としてその発送の中止を勧告した事実がある。若し事実とすればこれに対する政府の所見如何。