質問主意書

第26回国会(常会)

質問主意書


質問第六号

根室近海漁業の日ソ暫定協定に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和三十二年二月十三日

青山 正一      


       参議院議長 松野 鶴平 殿



   根室近海漁業の日ソ暫定協定に関する質問主意書

 北海道東部における沿岸住民は、終戦後十年有余にわたり領土帰属運動とともに、根室近海(ハボマイ諸島、シコタン島、クナシリ及びエトロフ両島を含む)における漁業の安全操業に関しての保障を求めていたことは周知の通りである。然るに、終戦後の昭和二十一年より昨年末までに、ソ連側に拿捕せられた漁船及び乗組員は延四三三隻、三、五〇〇人の多きに達しており、日ソ共同宣言発効後の今日も依然として領海侵犯を理由として拿捕の危険にさらされている実情は、地方住民の問題として放任し難いのである。これが対策としては、領土帰属問題の如何にかかわらず、この際、速かに両国間において、暫定協定を締結することが甚だ急務であると信ずるのであるが、次の諸点にわたり、政府の所見を明示せられんことを望む。

一、前記海域における拿捕船員は、ソ連の特赦により、事実上殆んど送還せられていたとはいえ、本年春季から、更に領海侵犯事件を引起すの情勢があるので、日ソ国交回復後といえども、何等かの対策が必要であること明かである。

二、前記海域における漁業に関しては、領土帰属問題との関連性ある外交問題として実現せらるべきであるとしても、千九百三十年ロンドンにおいて調印せられた英ソ暫定漁業協定の趣旨に則り、日ソ平和条約発効に至るまでの間、両国間の暫定協定を締結するの他はないこと明かである。

三、右の暫定協定の骨子としてはハボマイ諸島、シコタン島の周辺においては〇海里まで、クナシリ、エトロフ両島については、その干潮線三海里より十二海里の距離の間で、漁撈を行い得るものたることを明確にすべきである。

四、日ソ漁業合同委員会開会中、本件の問題に対しても適当な解決を求める用意があるかを明かにせられたい。