質問主意書

第24回国会(常会)

答弁書


答弁書第六号

内閣参質第六号
  昭和三十一年三月二日

内閣総理大臣 鳩山 一郎      


       参議院議長 河井 彌八 殿

参議院議員須藤五郎君提出韓国による漁船だ捕問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員須藤五郎君提出の韓国による漁船だ捕問題に関する質問に対する答弁書

一、いわゆる李ラインが確立された国際法及び国際慣習上何ら根拠なく、わが方としてこれを認め得ないことについては、その設定以来屡次にわたつて韓国側に申し入れてあり、その侵犯に籍口する本邦漁船の不法だ捕についても事件発生の都度厳重抗議を申し入れ、船舶及び乗組員の釈放返還を要求してきたのであるが、先方がこれに誠意を示さなかつたことは、まことに遺憾である。抑留邦人漁夫の早期釈放をはかることについては、先方が大村収容所の韓国人犯罪者の釈放要求に関連せしめているので、わが方としては、その問題の解決にも政治的考慮を加えることとし、厳重交渉を重ねて来ている。
 政府は、李ライン問題を含めて日韓間の諸懸案の全面的、根本的な解決をはかるべく、随時米国側と連絡し、日韓間の見解調整につきその好意的あつ旋を依頼するとともに他方在京韓国代表部を通ずる直接交渉にも努力中である。

二、(1)イ 差入品購入費補助金一五、〇〇〇円は差入品の購入以外に使用しないこと。
ロ 差入品の発送前に抑留者が帰還した場合はその差入品購入費補助金は返還すること。
ハ 昭和三十年十二月二十八日付で上記の内容を水産庁より関係知事あて指示した。
(2) 第一金比羅丸乗組員一人当り交付金額三五、〇〇〇円の内訳は、差入品購入費補助金一五、〇〇〇円及び見舞金二〇、〇〇〇円であり、昭和三十年十二月十六日予備費支出が閣議で決定されるに際し、決定された基準
イ だ捕漁船乗組員の留守家族に対し差入品購入費等補助として抑留者一人につき一五、〇〇〇円
ロ 漁船乗組員給与保険未加入者に対しては、見舞金として昭和三十年十二月までにだ捕抑留月数に応じ一人一ケ月につき一〇、〇〇〇円(以下省略)によるものである。
 前記(1)の通達は、上述の内容を持つ補助金につき、その使途に遺憾のないよう指導する目的で発したものである。
(3)及び(4) 政府としては、補助金の目的に沿うよう日韓漁業対策本部及び県に対し、帰還前に差入れを行うよう督励し、現在既に差入物資の購入も殆んど終了している。
 なお、補助金の目的外の使用は、避けたい所存である。