質問主意書

第24回国会(常会)

答弁書


答弁書第四号

内閣参質第四号
  昭和三十一年二月十四日

内閣総理大臣 鳩山 一郎      


       参議院議長 河井 彌八 殿

参議院議員木村禧八郎君提出御母衣ダム建設に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員木村禧八郎君提出御母衣ダム建設に関する質問に対する答弁書

第一問及び第二問
 サーベージ博士は、電源開発株式会社の技術顧問として招へいされた純技術者であり、御母衣に関する調査についても政治的な配慮を必要とする環境にはなかつたものと考える。
 従つてサーベージ博士の意見は、報告書における結論において述べられているものと解される。

第三問及び第四問
 サーベージ博士には、ダム建設に関して技術上及び経済上の観点から意見を求めたものである。これに対して同博士は、一応技術的な立場よりこれを検討して回答されたが、同博士が単に純技術的立場のみならず、経済的な観点よりも本件について考慮されたことは、爾後の同博士との意見交換の経緯に徴してもあきらかであると考える。

第五問
 御母衣地点の地質が複雑であるため、とくに周到な地質調査を行い、その結果を慎重検討の上、計画を策定したものてあるから、今後ダム建設に関して重大な計画変更を要する事態がおこるとは考えられない。

第六問
 ダムの技術者は、地質条件に対して特別なる考慮を払つてあり、御母衣地点においてもこの点について周到な注意を払い、慎重な検討の結果結論がだされたものである。
 また地辷り現象に対してロツクフイルダムは十分安全な構造をもつているものと考える。

第七問
 ニッケル博士は、もとビユーロー・オブ・リクラメーシヨンのボルダーダム建設の際の地質担当者で世界的なダム地質学者の一人であり、御母衣地点については、元来コンクリートダムを対象とした地質の判定基準に関する助言を求めたのである。ニツケル博士は、ロツクフイルダムの提唱者ではない。
 また、我が国のダム地質学者その他の技術者の意見聴取については、本地点の特異性に鑑み各方面の権威者の意見を徴し慎重検討の上万遺憾なきを期した次第である。

第八問
 この点に関しては、すでに技術的な検討が加えられ、必要なる処理が設計上考慮されている。

第九問
 湧水に対しては、土木工学的見地から十分な考慮が払われてあり、工事中は勿論のこと完成後といえども、十分安全であると考える。

第十問
 電源開発株式会社総裁が「世界銀行よりの借款は必ずしも望みなきに非ず」という発言をした事については政府は、関知しておらないがダムの建設は、日本の技術によつて行い得るものと考える。
 ただ御母衣地点の設備は、ロツクフイルダムとしては、画期的な大工事となるので設計並びに施工については経験ある外国技術の助言を得るのがよいと考えられる。