質問主意書

第24回国会(常会)

答弁書


答弁書第一号

内閣参質第一号属
  昭和三十一年一月十四日

内閣総理大臣 鳩山 一郎      


       参議院議長 河井 彌八 殿

参議院議員吉田法晴君提出籾井炭鉱施業案認可に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員吉田法晴君提出籾井炭鉱施業案認可に関する質問に対する答弁書

一、御質問の事項は、野上鉱業株式会社船尾炭鉱新坑の合併施業案の認可処分に関することと考えます。
 この問題につきましては、昨年七月に籾井炭鉱退職者代表数名が船尾炭鉱の施業案認可処分に対する異議申立の関係書類を持参の上、通商産業省石炭局に前記処分の取消方について陳情がありましたが、

1 福岡通商産業局長が行つた当該施業案の処分については、後述のとおり鉱業法上違法または不当な点は認められないこと。
2 本件に係る従来の紛争事件の解決には、この異議申立は関係のない事項と認められること。

等の事情を説明し、異議申立の関係書数は参考のため一応預つて検討するが、なお問題の具体的な解決方を現地の通商産業局と相談するようしようようするとともに、石炭局においても現地に何分の指示を行うよう取り計らうと述べたところ、陳情人等はこの趣旨を了承して帰つたものです。
 したがつて当局としては、鉱業法に基く正規の異議申立として処理すべきものとしてではなく措置したものであります。

二、本件に係る船尾炭鉱の施業案のうち、籾井炭鉱の操業に関係のある点は、坑道の共同使用のみでありますが、当時、この坑道の存する籾井炭鉱の第三坑は、深部の砂界層の採掘を終り、右肩部の砂界層と、深部の新五尺層の一部を採掘中でありまして、このうち新五尺層は、間もなく採掘終了となり、第三坑の採掘区域は全面的に右肩部の砂界層に移行しなければならない段階にありましたので、坑道の共同使用は短期間で、かつ、その間も籾井炭鉱の操業に制約を与えるおそれは、ないものと認められました。
 したがつて本件施業案の認可は、何ら籾井炭鉱の操業に支障を来たすものでなく、また稼行可能炭量に変化をきたすものではありません。

三、一般に施業案認可にあたつては、もつぱら鉱物の合理的開発と保安の確保との見地から、その可否を審査すべきものでありまして、御質問中の債権債務の処理、鉱業施設の譲渡及び掘採した石炭の売買契約等に関する問題は、民事上の措置をとる等、施業案の認可処分とは、別個の問題として処理すべき性質のものと考えます。
 したがつて、本件施業案の認可にあたつても、御質問のような未払賃金等債務の処理方法、詐害行為の有無等民事上の関係について、特に調査を行つたこともなく、またその必要もないのでありまして、その他の点についても審査の手続、内容に特に不備と認められる点はないと考えます。